社会貢献の功績
進藤 和昭
勤務先の障害者支援施設、「第一野の花学園」(福岡市西区今津)の隣に、鎌倉時代の蒙古襲来の際に命を落としたモンゴル人の慰霊碑として建てられた「蒙古塚」が荒れ果て、放置されていることに心を痛め、自分たちの手で保全管理しようと、2004年に県に譲渡要請を行い、有償で譲り受けることとなった。以来、蒙古塚を公園として整備し、保全管理を野の花学園の利用者らと行っている。同2005年に開催した「蒙古塚公園慰霊祭」には、在日モンゴル大使をはじめ多くのモンゴル人が参列し、慰霊祭は毎年開催されるようになった。モンゴルとの交流は、親善訪問や、アジア太平洋立命館大学のモンゴル人留学生を通じて更に深まり、両国の橋渡し役となった進藤さんは2015年にモンゴル政府から「北極星勲章」を授与された。
「日々感謝」
先ず、この度の社会貢献者表彰の栄えある受賞に授かり、ご推薦とご選考をいただきました委員の方々をはじめ、ここまで支えて戴きました皆様にあらためて感謝の意を表します。
私は、21歳の時に社会福祉法人野の花学園に入職し、68歳の今日まで47年間障がい者支援の現場で働いております。当法人の設立は、昭和34年に我が子の将来を案じた5人の母親が、行商や募金活動をしながら立ち上げました。その姿は、当時のNHK放送で「五つの灯」として放映されました。
また、当施設を訪れたノーベル文学賞作家のパールバック女史は、“不幸な子を持つことは決して不幸ではない。そのことに手を差し伸べないことが不幸である”と言って、5人の親を励ましたそうです。
私はこの言葉に深い感銘を受けてここまで頑張ってこられたし、それは障がい者ではなく、それぞれのハンディを個性として受け止め、私に関わりを与えてくれた数えきれない人達によって福祉への使命感を教えて貰いました。
当時、私が勤務していた障がい者支援施設第一野の花学園(福岡市西区今津4820)の傍らに「蒙古塚」がありました。これは、1274年(文永の役)、1281年(弘安の役)の蒙古襲来(元寇)によって亡くなられた両軍の兵士を慰霊して建立されたものです。
当時は県有地であったこの場所を譲渡して頂き、2004年に「蒙古塚公園」として整備して慰霊祭を実施しました。2005年より「今津福祉村モンゴル友好親善団」を結成しモンゴルとの民間交流が始まりました。
その後、“聖なる兵士の墓”とモンゴル語で記した慰霊碑や、“温故知新 蒙古襲来の教訓は、恒久平和と友愛、未知なる幸せと夢を説く”と記した石碑を地域の方々の協力を得て新たに設置しました。
モンゴルとの人的交流も深まり、ホームステイの受け入れ、留学生の生活・就労支援へ交流の輪も広がっています。
社会福祉法人野の花学園としても、福祉のグローバル化を推進しながら国際貢献事業に寄与していく所存です。
私自身、福祉の仕事を通じてこの地域に係わったこと、この地域に元寇の歴史が存在したこと、地域の理解と協力があったこと、モンゴル関係機関や現地関係者との繋がりに恵まれたこと、計り知れない多くの縁がこの度の受賞に至ったものと感謝いたします。
社会福祉法人 野の花学園
総合施設長 進藤 和昭