社会貢献の功績
故 荒岡 憲正
故 荒岡 正宏
荒岡 倫子
荒岡倫子
静岡県浜松市で、故荒岡憲正氏が重症心身障がい児施設の創設にかかわったことから、1976年に障がい幼児の早期療育の場として小児科や整形外科などの診療所を併設した「浜松こども園」を私財を投じて開設。障がい児を抱える親たちの望むものをアンケートを取って調査し、感覚統合療法やムーブメント療育(運動をとり入れて体と心を育てる)を行うためのグラウンド、音楽を楽しむためのホールやおもちゃ図書館を備えた児童のデイサービス事業を開設した。成長した障がい者には、小規模授産所や生活寮をはじめとして、社会福祉法人遠江学園設立にもこぎつけた。1万6千人を越えるボランティアの有形無形の助力とともに40年の長きにわたって、障がい児を持つ親たちの希望を叶え、社会自立を目指した施設を充実させ、障がい児福祉に尽力している。憲正氏の遺志は息子の故・荒岡正宏氏に受け継がれたのち、憲正氏の妻倫子氏に引き継がれている。
障害児の早期発見・療育を志ざして40年
この度は、思いがけなく三人揃って栄誉ある社会貢献表彰のご案内を頂き、身の引き締まる思いで、受賞の席に着かせて頂きました。すでに故人となった創設者荒岡憲正、正宏と、事業を託された私。三人の40年をしっかり見守っていて下さる方がいらしたことにも、特別の感慨がございました。
今から40年前、障がい児に対して、充分な施策がなされていない時代、ことばの無い子、すぐに行方不明になってしまう子、家庭でのお世話が困難な子、親が働くためには、部屋にカギをかけて出掛けることもあったといいます。母子心中事件が新聞の紙面を賑わすことも度々ありました。
荒岡憲正は、早期発見・療育の強い志を持ち、保健所や役所等を巡り、大勢の協力者に出会い、昭和51年、海辺の茅の草原にプレハブの園舎を建てスタートしました。
個人の力は小さく、療育の理念を守りながら、精いっぱいの日々を過ごしましたが、こども達には一番いいものをと願い、全天候型のグラウンドや、プールの設置、安心して受診のできる診療所も併設しました。成長したこども達には、福祉作業所や、余暇支援を行い、グループホームの建設にもこぎつけました。
長い間、未認可法人の苦しい運営でしたが、念願の公益法人への移行を果たし、更にそれまで独自に行ってきた諸事業を、行政の制度にのせたのは、荒岡正宏でした。
ひとりひとりの可能性を見出し、沢山の名人(手機織り、草取り、藍染めの型彫り、ピアノ)を育て、又、どの子も参加できる作業を創出した創設者荒岡憲正のその思いを継承したい、誰もが持っている何かしらいいものを見つけて、その子の喜びにつなげたいと、切に思います。
40年間で療育相談を受けられた方1,439人。尊い汗を流して下さったボランティアさん16,000人。志を共にして下さった、数々の職員たち。途方もなく大勢の方の支えがあって、私達三人が表彰を頂いていることに思いが至りました。安倍昭恵会長をはじめ、皆様の熱いお励ましをしっかり受け止めさせて頂きました。ありがとうございました。