社会貢献の功績
公益財団法人 どうぶつ基金
昭和63年横浜で設立され、殺処分される犬猫の状況を改善しようと、見捨てられた犬や猫の保護と里親探しを行い、猫の不妊手術(さくらねこTNR)を全国各地で行っている。28年目の平成26年度には8,262匹の猫の不妊手術を行った。また、世界自然遺産登録を目指す鹿児島県徳之島では絶滅危惧にあるアマミノクロウサギを猫が捕食している事が発覚、どうぶつ基金では徳之島に住む推定3,000頭の猫すべてに不妊手術を施してウサギも猫も殺さずに生物多様性を守る共生プラン「徳之島ごとさくらねこTNRプロジェクト」を立ち上げ獣医師団を派遣、すでに2,136頭の不妊手術を終えた。
このたびは、どうぶつ基金を表彰いただき誠にありがとうございます。これもひとえに私たちの殺処分ゼロに向けた活動をご理解いただいていることだと身にあまる光栄に存じます。
どうぶつ基金は故富岡操さんが1988年に横浜で設立した財団です。富岡さんは海軍少将であった故富岡定俊男爵の奥様でした。式典当日は、海と関連の深い貴財団から表彰を受けたことを御夫妻が天国からご覧になって、どんなにか喜んでいらっしゃるかと思うと、私も喜びで心がいっぱいになりました。
富岡操さんは戦後間もない1948年ごろから横浜の自宅で、飼い主に見捨てられた犬や猫の駆け込み寺をはじめ千匹以上の保護を続けていました。1988年83歳の時に自身の財産を提供し、当財団の前身、財団法人横浜動物福祉協会を設立しました。その後、シェルター施設に住み込みで働き、96歳で亡くなるまでの半生を犬や猫の救命と保護に献身されました。
1988年、財団設立当時の日本では、70万頭の犬と30万頭の猫、合計約100万頭の犬や猫が殺処分されていました。財団では、そんな状況を改善して人と犬や猫が殺処分なく幸せに共生できる世の中に変えるために、こつこつと見捨てられた犬や猫の保護と里親探しを行う一方、35,000頭のねこの無料不妊手術(さくらねこTNR)を全国各地でおこなってきました。
「さくらねこ」とは不妊手術済の印に耳先を桜の花のようにVカットした猫です。どうぶつ基金が桜の花のようにみんなから愛されるようにという願いを込めて名付けました。これが全国で広く使用されるようになりました。知らない町に行ったときにさくらねこを目にすることも多くなりました。そんな時に「この町にもさくらねこを守ってくれる優しい人たちがいる。いい町だなあ」と思いとても幸せな気持ちになります。
財団設立から約30年、平成27年度の殺処分数は、100万頭から8万頭にまで減少しました。どうぶつ基金では発足当初から「行政による犬や猫の殺処分ゼロ」の実現をめざしてきました。当時は夢物語と笑われてきましたが、今では政府も「2020年オリンピックまでに殺処分ゼロ実現」を視野にプランを挙げています。
また世界自然遺産登録を目指す鹿児島県徳之島では絶滅危機にあるアマミノクロウサギを猫が捕食している事が発覚、どうぶつ基金では徳之島に住む推定3,000頭の猫すべてに不妊手術を施してウサギも猫も殺さずに生物多様性をまもる共生プラン「徳之島ごとさくらねこTNRプロジェクト」を立ち上げ獣医師団を派遣、すでに2,136頭の不妊手術を終えたさくらねこがうまれました。この結果、猫の捕食によるアマミノクロウサギの死体発見はゼロになり生息域は5キロ平米も広がりました。
この様に私たちの活動の有効性が明らかになり、長年訴えてきた殺処分ゼロの実現が見えてきました。こういった実効性のある社会貢献が出来ることに大きなやりがいやよろこびを感じます。
どうぶつ基金ではこれからも創設者富岡操さんの遺志を継いで犬や猫の殺処分ゼロの実現に向けまい進いたします。
理事長 佐上 邦久