認定NPO法人 フリースペース たまりば
学校や家庭、地域の中に自分の居場所を見いだせない子どもや若者たちと関わりを持っていた西野博之さんが、学校外の育ちと学びの場として1991年に川崎市高津区に開設した「居場所」。子どもたちがやってみたいことに挑戦する機会と、安心して失敗できる環境づくりを心掛けている。当初、「たまりば」の子どもたちは学校に行かず遊んでいるだけだと誤解されていたが、子どもたちの9割が高校や大検予備校に行くなど、自主的に学びの場に戻っていると知った行政から、居場所に鍵があるかもしれないと、1998年「川崎市子どもの権利に関する条例」をつくる調査研究員会の世話人の一人として西野さんも策定に参加を要請された。どんな子も共にストレスを発散できる自由に遊べて無料で通えるプレーパークみたいなあそび場を作ろうと行政に協力して、2003年に「川崎市こども夢パーク」の開設に尽力した。また、国内では珍しい公設民営の不登校児童生徒の居場所「フリース ペース えん」の運営、2006年からは指定管理者として夢パーク全体の運営に携わっている。15.39歳で就学・就労していない生活保護世帯のひきこもりの若者たちの自立に向けた居場所・就労支援を行う川崎若者就労・生活自立支援センター「ブリュッケ」、フードパントリー等を通して地域の人たちとつながれるコミュニティスペース「えんくる」の運営、市内3か所の児童相談所で子どもと大学生をマッチングさせる「ふれあい心の友」事業、生活困窮者・ひとり親家庭の子どもを対象とした無料学習支援事業「よつばの会」の受託へと、活動の幅を広げている。
この度は、社会貢献者表彰式典におきまして大変栄誉ある賞を賜り心からお礼申し上げます。当法人は、1991年より川崎市内で地域に不登校、ひきこもり傾向等居場所を見出しにくい子ども・若者、その家族の居場所づくり、そしてこうした子ども・若者と共に暮らす地域づくり・まちづくりに取り組んでまいりました。現在、3つの拠点で6つの事業に取り組んでいます。いずれも川崎市を中心に地域密着で取り組んできました。今回、当法人の活動を全国の団体様と共に評価いただきましたことに、大変ありがたい気持ちで、授賞式に臨ませていただきました。
当日は、日頃はお目にかかる機会のない錚々たる皆様の集まる式典で、美味しいお料理、素晴らしい音楽でおもてなしいただき、表彰いただきました。こうした地域の地道な活動に光を当ててくださり、応援のメッセージをいただき、大変励まされました。
また、全国の皆様の活動の紹介をお聞きし、素晴らしい取り組みを知る貴重な機会ともなりました。これまで知る機会のなかった他地域の皆様の精力的な活動にも刺激を受けました。国際問題に取り組まれる皆様からも多くのことを学ばせていただきました。また、これまでお互い知ってはいながらなかなか連携には至っていなかった、近隣地域の団体様と今後の連携・交流につながるきっかけを頂くこともできました。こうして多くの団体の皆様と交流の機会をいただけたことに、心より感謝申し上げます。今後の励みとして参ります。
ここ数年、不登校児童生徒数の劇的な増加を受け、当法人の取り組みも、全国の皆様に知っていただく機会が増えました。また、子どもたちと共に居場所づくりに取り組んできた活動は、こども基本法の制定、こども家庭庁の創設という社会の変化の中で「こども参加」「こどもの意見表明」という観点からも、注目していただいております。今回の受賞が、さらに多くの方に知っていただくきっかけともなると思います。襟を正し、職員一同、ますます精進して参りたいと思います。