社会貢献の功績
田中 幸子
2005年に長男の自死を経験し、生きて行くことがつらいほど孤立感が酷く、同じ思いの遺族に会って話しがしたいと思い、当時日本で初めての、自死遺族による自死遺族のための自助グループ「藍の会」を発足した。マスコミに多く取り上げられ、自死遺族は堰を切ったように全国津々浦々から同会に参加し、2008年には「全国自死遺族連絡会」が発足し、相互扶助の精神で全国の遺族がそれぞれの地域で活動をしている。自死遺族という経験から見えた、人が生きて行くために必要な支援を構築するのために、自死の予防や防止の活動にもカを注ぐ。東日本大震災後は子どもを亡くした親の会「つむぎの会」の活動を被災地にも広げ、津波で子どもを亡くした親も多く参加している。遺族自身が元気に生きていけるように24時間365日休みなく相談を受け付け、年間の相談件数は自死遺族以外からの相談も含めて(手紙・メール・個人面談・集い・電話)延べ1万件ほどになる。
第47回社会貢献者表彰を受けて思うこと
自死・自死遺族支援という活動が社会貢献という事で表彰して頂いたことは、私自身も含めて自死遺族の大きな励みとなりました。自死への偏見と差別から遺族は世間から隠れるように生きてきた歴史がありますが、今回の受賞は晴れやかな舞台で自死を語れることが認められたことでもあり、自死遺族が隠れずに普通に生きていける心の糧となりましたこと深く感謝いたしています。
私は2005年に長男を自死で亡くしてから半年後の2006年に、当時全国で初めて、社会に公開しての自死遺族の「わかちあい」の自助グループをたちあげ、2007年子供を亡くした親の会「つむぎの会」、自死の予防の「藍色のこころサロン」、また2008年に自死遺族による自死遺族のための全国ネット「全国自死遺族連絡会」を立ち上げ自死遺族の総合支援と社会活動をし、2010年は自死遺族等への差別問題の支援を目的として法律の専門家や民法学者と共に「自死遺族等権利保護研究会」を立ち上げ、遺族が元気で生きて行くための「総合支援」の活動を全国に広げてきました。2018年現在自死遺族の会員3,000人以上、その会員が全国で様々な遺族の自助グループの活動を展開しています。2006年の活動開始から、24時間365日休みなく相談受付、手紙・メール・電話・FAX・面談・1年間の相談件数1万件以上を10年以上続け、これまでに受けた相談件数が11万件以上です。
これからも愛する大切な人の失われた命の意味を伝え、自死の予防や防止、また遺された人たちが悲しみを抱えたままでも元気で、そしてやさしい人がやさしいままで、笑顔で生きて行くことができる社会を目指して、このいのちが尽きるまで活動を続けて行きたいと思っています。