受賞者紹介

第60回 社会貢献者表彰
えぬぴーおーほうじん めっしゅ・さぽーと

NPO法人 メッシュ・サポート

(沖縄県)
NPO法人 メッシュ・サポート 理事長 塚本裕樹
理事長 塚本 裕樹

沖縄県の琉球諸島全域、及び一部鹿児島の空港を有する離島でヘリコプター・小型飛行機を活用した医療支援活動、空飛ぶ救急車として病気やケガの患者の搬送を行うNPO法人。心臓や脳の疾患で救命率を左右する15分以内の医療介入を目指し導入されたドクターヘリは、今や全国に配備されているが、沖縄県は離島全てをカバーすることができていない。また県のドクターヘリや自衛隊機が対応しない(緊急性が低いと判断された)、本島に搬送された患者が転院して治療を継続するといった理由で離島に戻る際や、民間機やフェリーでの移動では医療器材の使用に制限や時間がかかり、費用面・体調面で患者への負担が大きく、残りの生涯を本島で終えるしかなかった人などを無料で搬送する。また、数日後に手術を控える患者や、今後体調が更に悪化する可能性がある患者にも同団体が要請を受け搬送を行っており、離島の医師たちから大変感謝されている。活動範囲は沖縄の本島に近い鹿児島県の奄美大島から南側も含め、700kmを網羅している。これまでに2,300回以上、月にして30件出動。運営費用は主に会費や寄付で賄われている。

当法人は多くの有人離島を抱える琉球諸島にて、離島医療の抱える問題を改善し、救える命を救うため、航空機を活用した医療活動に取り組んでおります。

主な活動としては、ドクターヘリの導入が困難な沖縄県本島北部地域にて救急ヘリの活動と、琉球諸島全域にて行政の患者搬送手段では対応できない患者の搬送や医師の派遣を担う医療用飛行機の活動となります。

法人設立のきっかけは、1992年に初代理事長である小濱正博医師が、両親の故郷である沖縄県の離島診療所にて離島医療に従事した際に、離島における航空医療の有用性を痛感したことに始まります。その後、琉球諸島全域にて医療用航空機の導入を目指して孤高奮闘するなかで、2008年に当法人の設立に至りました。

離島では高度医療に対応できる大きな病院を運営することができないため、離島の病院や診療所にて対応できない患者が発生した際は、都市部にある高度医療の病院まで患者を搬送しなければなりません。沖縄県本島周辺の離島はドクターヘリや当法人が運営している救急ヘリにて搬送され、先島諸島や奄美諸島などの長距離にある離島からの搬送は陸上自衛隊が担っております。陸上自衛隊への搬送要請には災害派遣要請の三要件(緊急性・非代替性・公共性)に適合した事案でなければなりません。例えば、今後、容態の悪化が予想される患者の搬送(準救急搬送)や、都市部にある高度医療の病院にて手術を受けた後、故郷の島の病院に転院する際に、医療器材の使用制限により民間航空機での移動が困難な患者の搬送(帰島搬送)は、緊急性に適合しないため搬送することができません。このような離島医療特有の問題を改善するためには、離島医療の需要に対応し、かつ、広域圏域の飛行が可能な搬送手段の構築が必要となります。

問題の改善にあたり、当法人は広域圏域での飛行が可能な医療用飛行機をクラウドファンディングにて導入。2015年10月から2023年9月の間で、41件の準急搬送と51件の帰島搬送、247件の医師派遣を実施し、離島医療の問題改善に貢献してまいりました。この度、社会貢献支援財団様ならびに日本財団様のご支援を頂き、新たな医療用飛行機を整備することができました。これにより今後の活動の道筋を立てることができました。

これまで多くの困難がありましたが、救える命を救うため、諦めずに活動を継続することにより、累計2,600件を超える医療活動を行ってきました。これからも挑戦を続け、未来の離島医療に貢献するため邁進してまいります。この度は、社会貢献者として表彰いただき、心から感謝申し上げます。

  • 搬送(琉大から宮古へ)2019年3月
    搬送(琉大から宮古へ)2019年3月
  • 2023年に導入された機体
    2023年に導入された機体
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