社会貢献の功績
社会福祉法人 柚の木福祉会
福岡県糟屋郡で昭和55年に無認可の福祉作業所として設立され、翌年に社会福祉法人の認可を受け、同57年に同県で民間初の通所授産施設「柚の木学園」となった。現在、障がい者、子ども、高齢者の3つのカテゴリーで15の事業を行っている。特筆すべきは、公立の小学校舎内に有る「福祉創造塾ふれいあいの部屋」の存在で、7名程の知的障がい者が通い、軽作業の傍ら、すぐ隣の教室で学ぶ小学生が休み時間になるとこの部屋を訪れ、障がい者から紙すきなどを教わる。小学生のうちからハンディを持った人に分け隔てなく接する精神を育むことや、子どもを通じて親の障がい者に対する理解も深まり、全国で初めて、障がい者施設が垣根無く児童と触れ合える場所となっている。
この度は社会福祉法人柚の木福祉会に、大変栄誉ある賞を賜り誠に光栄に存じます。当福祉会の長年にわたる福祉への取り組みにこのような評価をいただいたことは、思いを新たに進んでいくための力となりました。
柚の木福祉会は、主に知的障がいのある方への支援を目的として設立されました。しかし、既存の制度だけでは障がいのある方、そしてそのご家族のニーズに応えることが難しいと考え、独自のサービスを次々と開発してまいりました。日本で初めて小学校の余裕教室を利用した作業所や、当時としては画期的なレストラン形式の施設、町内会がバックアップしてくださるグループホームなど、広く深く地域と関わり合いながらご利用者様が活動できる場を作りました。行政とともに法律化される前から立ち上げた乳幼児発達支援事業には、地域で支援を受けるために幼稚園、保育園、小学校とのネットワークができました。高齢者向けサービスも加え、こどもから、障がい、高齢までのライフステージをトータルにサポートできる福祉に発展してまいりました。
ここに至るまでの道のりは、福祉を志す者は皆そうであるように、決して平坦なものではありません。しかし困難に出会った時には、必ずそれを助ける手が差し伸べられてまいりました。利用者様から、そのご家族から、地域の方々や異業種の方々からも、ボランティアの皆様、理解ある議会や行政の皆様から差し出されるあたたかく、優しいその手に、いつも感動し、感謝し、涙したものです。
今回の受賞は、支えていただいたすべての方とともに受賞させていただいたと考えています。
地域全体でサポートを必要とする人を受け入れ、障がいのあるなしに関わらず、こどもから高齢までその地域に住むあらゆる人が共に幸せに暮らせる"あったかいまちづくり"。それこそが、わたしたち柚の木福祉会が目指しているソーシャルインクルージョンです。私たちが事業を営んでいるところは、その"あったかいまち"に近づきつつあると感じています。さらに広げていくために、共感される多くの方々の手をお借りしながら、これからも一層努力してまいる所存です。
最後に、福祉を担う職員はその過酷な状況ばかりがクローズアップされ、一人ひとりにはなかなかスポットライトが当たりません。しかし彼らは困難にありながら、ただひたむきに自分のなすべき仕事に心血を注いでいます。この場をお借りして、福祉を担うすべての人に対して最大級の感謝と賞賛を送り、共に未来に進んでいきたいと思います。
御財団の高邁な理念に敬服し、これらからの活動がますますご発展され、受賞を喜ぶ多くの方々の笑顔で包まれることを祈念いたします。