社会貢献の功績
特定非営利活動法人 エクアドルの子どものための友人の会
1987年に南米エクアドルで起きた地震がきっかけとなり、日本に住んでいた同国の人の呼び掛けで、「エクアドルの子どものための友人の会」が結成された。目的は、エクアドルの人々が自分自身の手で公正で豊かな社会を実現できるように、教育を通して協力すること。貧困から学校にいけない子どものための奨学金プログラムや教育改善事業を手掛ける。現地のNGOと共同で活動し、今年で22年を迎える。180名以上の中・高校生が卒業し、延べ230校以上の学校施設を地域の人々と建設、修理するなどの支援を続けている。
今回はこのような賞を頂き、会を代表して心から感謝申し上げます。
教育支援を通して人と人とがつながっていく、私たちの会、『エクアドルの子どものための友人の会(SANE・サネ)』はそんな会です。支援を受けた元奨学生自身が次は会を支える人となる、このような息の長い活動を続けて22年になりました。
この活動のきっかけとなったのは、1987年にエクアドルで起きた大地震です。当時来日して埼玉県飯能市に来たばかりだったエクアドル人ホセ・アルメイダは、多くの日本人の協力を得て、母国の子ども達のために、勤務先の高校でチャリティーコンサートを開催しました。その時に集まった義捐金は13万円余。これを国の父親に送金し、父親はこの資金で、住民と一緒になってアンデス山中の小さな学校に教室を建設しました。政府によって10年も作りかけで放置されていた教室が、ひと月で完成したことに、村人たちは大喜び。それまではこの学校に教室はなかったのです。このことは周りに広く知られるようになり、多くの要望が寄せられました。こうして現在に至るまで、毎年チャリティーコンサートを行い、貧しい周辺地域の学校建設や小・中学校での学校菜園、技術教育(職業訓練)などを行うようになり、支援数は220事業に及びます。
この活動は、1989年に『エクアドルの子どものための友人の会』設立という形で発展し、奨学金事業も始まりました。経済的に困難を抱えた、中・高校生に、奨学金を授与するだけではなく、講座の開催や学習支援、生活支援を行い、日本の会員の希望者と毎月手紙の交換をするーそんな手間のかかる活動を通して、これまで約200名の子ども達が学んできました。サネは会員の会費や寄付から資金を作り、現地のパートナーであるソハエ(教育のための日本・エクアドル連帯の会)に送金しています。また、文通を通して日本の会員が子どもたちを励ましています。現在、成長した元奨学生達がソハエを支えるようになりました。会の代表を始めとするボランティアや、職員の多くは元奨学生です。会の資金は大変小さいため、職員には良い給料は出せませんが「この活動が好き」と誇りを持ってくれています。
一方、カヤンべという農村地域では、地域に残り地域の発展を支えていけるような青年を育てるために、学校の教師と一緒になって、学校菜園や技術教育を行っています。子どもたちはこの事業を通じて、農業、木工、溶接などの技術を身につけ、自信を持って社会へ出ていけるようになります。
時間をかけて子ども達を育て、社会に出た彼らがやがて後輩や自分の地域のために協力するようになる。そういう活動をしているのが、私達SANEなのです。
22年目の今年、この受賞のおかげで初めてエクアドルから元奨学生が日本に訪れました。そして、いただいた賞金を活かして現地メンバーが研修に励むことになりました。大きな前進につながっていくものと希望を持っています。重ねてお礼申し上げます。