認定NPO法人 プラス・エデュケート
愛知県出身の森顕子さんが、豊明市の外国にルーツを持つ家族が多いエリアの一角で2009年に外国人児童へ夏休みの学習支援教室をひとりで始めたことが活動の始まり。現在は「外国人のための放課後学習支援事業」「進路に関する相談受付」「オンライン日本語会話教室」を自主事業として、また「豊明市・碧南市・半田市の日本語初期指導教室」「不就学・不登校の児童生徒のための送迎」を受託事業として実施している。2021年度からは「にほんご子ども支援団体リンク」を立ち上げ、他団体と連携した活動を可能とした。公立学校における日本語指導が必要な児童生徒数(外国籍・日本国籍)は右肩上がりに推移している。徐々に教育体制が整ってきて、特別な配慮(特別の教育課程)に基づく指導を受けられる子どもの割合も年々増加しているが、実際はかなりの地域差がある。外国にルーツを持つ子どもが少ない自治体では指導体制が整っておらず、やっと日常会話ができるようになっても、教科書の文章や授業は理解できず、不登校になり、取り残されてしまう子どもも多い。森さんは全国どこにいても、外国人でも日本人でも同等に教育を受けられるための日本語指導方法や指導要領が確立されていくべきだと考えており、日本語学習の教科書を制作している。全6巻のうち現在4巻目が完成した。こうした教科書も今後全国に普及させていきたいと考えている。
このたびは栄誉ある賞をいただき、誠にありがとうございました。素晴らしい式典に参加させていただき、夢のような時間を過ごすことができました。社会貢献支援財団の皆様の温かいお心遣いに感動するとともに、受賞団体の方々との交流は大いに刺激となりました。改めて感謝申し上げます。
さて、私たちは、外国ルーツの子どもへの日本語教育を中心とした学習支援活動をしています。活動拠点となっている愛知県は、製造業を中心とし、あらゆる分野で外国人がたくさん働いており、それに伴い日本語指導を必要とする子どもの数は全国で一番多い地域となっています。
労働者として定住する外国人の親たちは、自らの意思で来日していますが、子どもは違います。そして、親は日本語を使わなくても働ける場合があるのに、子どもは学校に通うため、高度な日本語力が求められます。学校では、日本語がわからなければ友達を作ることもできず、孤立してしまいがちで、授業についていくことは困難です。しかし、母国で日本語を学んでくる子どもはほとんどいません。1日中何もわからず、誰とも話さず、席に座っているだけの状態が長く続けば、この国で暮らす自分の未来に明るさを見出すことはできないでしょう。
そもそも国籍やルーツに関係なく、どんな子どもにも等しく素晴らしい能力が与えられているはずですが、その力を開花させるためには、環境が重要です。ですから、私たちは活動当初から、6歳から18歳くらいまでの子どもに特化して支援をしてきました。日本語指導を必要とする子どもに、教育の機会を与えること。そして「やらないよりはまし」というレベルの教育内容から、効果を感じられる日本語教育へと質を高めること。この2つを大きな目標として、取り組んできました。様々な方々のご理解とご協力をいただいて、活動開始から約10年で、地域においては、その目標をおおむね達成できたと考えております。
日本語教師は、外国ルーツの子どもにとって、我が国で深く関わる「最初の日本人」となります。彼らを温かく受け入れ、認め、ほめて、伸ばしてあげること。彼らに愛情深く接し、日本社会で逞しく生きていく勇気を与える存在となれたなら、それ以上の喜びはありません。今後は、人材育成にも力をいれ、1人でも多くの子どもの助けとなれるよう努力を重ねていく所存です。このたびの受賞で、新たな一歩を踏みだす後押しをいただけました。改めて感謝申し上げます。