このたびは、第60回社会貢献者表彰を受賞させていただき、ありがとうございました。私は個人での受賞ですが、これまで私を支えてくださった国内外の多くの皆さんのご理解とご協力の結果だと思っています。そんな皆さんとも受賞の喜びを分かち合いたいと思います。

さて、1988年の政変で疲弊したミャンマーから、一人の歯科医師を九州大学に受け入れたことが、私とミャンマーとの出会いです。2003年初めてミャンマーを訪問した際、物は無いが心が豊かな人々に出会い、ミャンマーに魅了されました。そのとき将来ミャンマーでボランティア歯科活動をすることを決心し、2011年から本格的に活動を開始しました。年間のべ6か月はミャンマーに滞在し、孤児、心身障がい者や山岳・少数民族などを対象に、むし歯や歯周病の治療、さらに口からの感染症予防を目的とした予防歯科・保健衛生指導の巡回診療を全て無償で行ってきました。

活動の最終目標は、私ではなく ミャンマー人の手で継続してもらうことです。そのために、手洗いや歯磨きの習慣が定着するまで、繰り返し同じ場所を訪問しました。また、ともに活動するミャンマー人医師や教師、現地のＮＧＯ団体スタッフなどが歯科知識や技術を習得できるように、勉強会も開催してきました。ちょうど民主化政権に移行した時期と重なったため、活動地域もかつて外国人は訪問できなかった中国やタイとの国境付近まで拡大してきました。

しかしながら、2020年の新型コロナの流行、2021年のミャンマー国軍による政変後は、ミャンマー国内に入ることはできません。仮に入国できても、訪問してきた地方の多くは内戦状態で、近づくことすらできません。地方にいる多くの友人・知人は避難民となり、今なお国内を転々とし避難生活を余儀なくされています。政変後しばらくは食料、医薬品、文房具などの支援ができましたが、現在ではそれすら困難になりました。

そこで、かろうじて国外に脱出はできたものの生活に困窮している避難民のために、ミャンマー国境に近いタイ国側の町で、ボランティア活動を開始しました。今後も継続する予定です。

なお日本国内では、文化交流任意団体「福岡・ミャンマー友だちの会」を通じ、多くの日本人にミャンマーに関心を持ってもらえるよう、これからも文化的な活動を継続します。さらに在日ミャンマー人の心身の健康維持のためにも協力していく所存です。

• 
  2013年シャン州アウンパン　チャリティー歯科治療
• 
  2013年ネピドー国立往郷病院にて　現地歯科医らに治療指導
• 
  2014年ヤンゴン・ミャイン尼僧院　歯科検診
• 
  2015年カチン州モガウン内戦難民キャンプ　保健衛生指導
• 
  2015年カレン州　母子ともに生まれて初めての歯ミガキ
• 
  2016年ヤンゴン　ダラー地区　ＡＩＤＳ患者への口腔衛生指導
• 
  2017年エヤワディ　鼻呼吸を促進する「あいうべ体操」指導
• 
  2018年ヤンゴン愛の家小学校　手洗い指導