一般社団法人 モザンビークのいのちをつなぐ会
2012年に仕事で初めてモザンビークを訪れた榎本恵さんは、天然ガス開発など、多額の外資の参入があるにも関わらず、北部などの貧困エリアの生活は改善されず、国の政策も追いついていない状況を目にした。榎本さん自らスラムの真ん中に居を構えて生活することで、現地が抱える課題や本当に必要なものを実体験から理解し、貧困層が抱える問題を住民一人一人が自らの力で解決できるよう2013年に団体を設立して活動するようになった。アフリカでも教育レベルの低い同地域で識字率を上げ、無教育の連鎖を解消し、若者の可能性を広げるべく寺子屋の建設・運営を始める。また食料自給率を高めるために「農業指導プロジェクト」、細菌やウィルスなどの感染症による乳幼児死亡率の低減を図る「公衆衛生活動・美化活動」、井戸・トイレを設置する「水環境活動」なども行っている。これらの活動には現地の住民有志100人余が協力し合い、地域の人や物を活用し必ず対価を支払う。コミュニティの経済活動も活性化させることで強固な人間関係を築いている。今後、パン屋、車両整備、運送業、水道業など「小さな商いプロジェクト」を実行していくことでコミュニティの人々が自ら収入を確保していけるよう挑戦を始めた。
「支援の光の当たらないエリアでこそ、NGO活動を!」との思いから、無教育の連鎖・乳幼児死亡率の高さ・失業率の高さが著しく、最貧国モザンビーク国内で最も貧困率が高い北部のスラム地区で、モザンビークのいのちをつなぐ会の活動を始めてから、11年目となりました。
当初30名ほどが通所していた、スラムの学び舎・寺子屋には現在、乳幼児から小中学生を主に350人の子どもたちが通い、かつて寺子屋で学んでいた子どもたちが今では寺子屋で教える立場となり、思い描いていた学びの循環が形になってきています。
現在、モザンビーク北部は日本を含む先進国の天然ガス開発を一因として、イスラム過激派のテロ紛争が断続的に発生し、5千人以上の人たちが命を失い、国内避難民は100万人、115万人もの人たちが食糧難にあえいでいます。私たちのもとには、住まいを失い路頭に迷う避難民からの相談も増加。またスラムの子どもたちの15%が1日1食以下という飢えの危機にあります。当会では、これまでの教育活動、公衆衛生活動、水環境整備活動、環境保全活動に加えて、テロ紛争被災者支援活動も開始し、避難施設・平和の家の建築運営や、子どもたちへの毎日朝と晩の配食も現在行なっています。ようやく入手した中古車は、スラムの人たちの救急車としても活用。日中問わず、命を救う!ことを第一にしている当会が地域の頼れる存在となっています。
このグローバル社会では、遠く離れた国との関わりが広がっています。モザンビークも然り。日本でなかなか報道されない国の暮らしや問題を、一人でも多くの日本の人たちに知っていただき、世界における社会的ジレンマや、平和、貧困問題を皆さんと考え、調和と尊厳ある世界の一助となるべく毎年、講義公演活動を行なっています。
当会は現地でスラムの青年やママさん職人さん100名と一緒に、草の根活動を途切れることなく続ける雑草魂の団体です。これからもスローガンである「小さいけれど、チカラ持ち!」を発揮できるように、汗を流していきたいと思います。
この度は、このような栄誉ある賞をいただき、大変感謝しております。
世界に沢山ある中で、なかなか日の目を見ることのない、踏ん張って草の根活動を続けるNGOの皆さんとも想いを合わせ、今後も奮闘していきます!