社会貢献の功績
特定非営利活動法人 ACE
世界中のすべての子どもが権利を守られ、希望を持って安心して暮らせる社会をめざし、市民と共に「児童労働の撤廃と予防」に取りくむ国際協力NGO。1998年に107か国で行われた「児童労働に反対するグローバルマーチ」に日本から参加、1997年に学生の有志5人で結成し、2005年にNPO法人化された。現在、主にインドとガーナで子どもを危険な労働から守り、教育を推進する国際協力活動や日本国内で市民、企業、政府に働きかけ児童労働の取り組みを促進するアドボカシー活動を行っている。
この度は社会貢献者賞を受賞させていただくことになり、大変嬉しく思います。これまで14年間の活動の中で賞の受賞は初めてであり、来年は設立15周年という節目の前に、これまで活動を続けてきた功績を認めていただいたことに、感謝申し上げます。
1997年、当時大阪で児童労働の研究をする大学院生だった私は、児童労働についての情報を探す中で、国際子ども権利センターというNGOに出会いました。そこでボランティアを始めた時に、「児童労働に反対するグローバルマーチ」という世界的なムーブメントが、1998年に6ヶ月間かけて5大陸の1000を超える団体が、協力して実施されることを知りました。この機会を逃さず、日本でも児童労働の問題を伝える契機としたい!と、仲間を集め、当初6カ月限定のNGOとしてACEを立ち上げたのが、ACEの活動の始まりです。
転機が訪れたのは2001年。海外留学や就職で各地バラバラになっていたメンバーが、東京をベースにそれぞれの仕事を始めたことをきっかけに、ACEの活動を再開、それぞれの仕事の傍らにボランティアとして、まずメールマガジンの発行を開始しました。その直後、インドから「サッカーボールを子どもが縫う児童労働が起きている。その子どもとグローバルマーチの代表が2週間後に日本に行くので、記者会見の準備をしてほしい」との突然の電話があり、急きょ記者会見を開催することになりました。サッカーボールを縫っていたというソニアさん(当時15歳)が来日し、「大人が適正な賃金をもらって作ったサッカーボールを使ってください。子どもは学校に行くべきです。そのためにどうか協力してください。」とメッセージを発信し、その後実際現地を訪れ、自分たちの生活を支えるモノが、児童労働によってつくられているのだという現実を実感しました。結果的に「ワールドカップキャンペーン2002〜世界から児童労働をキック・アウト!〜」と題したキャンペーンを他団体と共催し、この活動が成功したことから、ACEを法人化し有給の職員を置けるような体制づくりを目指すことになりました。今はカカオ産業、コットン産業の児童労働に多面的なアプローチで取り組み、常駐スタッフ7名が国内外の活動を支える他、企業との連携も進み、多くの方の共感を得て活動が進められる体制になりました。これまで私たちの活動に可能性を感じ、共感して支援してくださった方々への感謝の気持ちと、まだまだ実現したいことと出来ていることのギャップも多く、それををいかに埋められるかのチャレンジを続けています。
2010年はNPO法人化5周年を迎え、カカオ畑で働いていたゴッドフレッド君が日本に来日し、中高生と交流しました。日本が輸入するカカオの7割はガーナ産であり、私たちの暮らしとも関係があることを多くの方に実感してもらえました。モノだけの地域とのつながりから、人と人へのつながりへ進化させ、これからも活動を続けていきたいです。