認定NPO法人 ピッコラーレ
助産師6名、社会福祉士1名が、東京にも妊娠が困りごとになっている人たちが安心して相談できる窓口が必要だと感じ「こうのとりのゆりかご」で知られる熊本の慈恵病院を見学した後、任意団体を設立し、クラウドファンディングで準備金を募り「にんしんSOS東京」を2015年12月に開設した。2018年に一般社団法人にんしんSOS東京から特定非営利活動法人ピッコラーレに法人格と名称を変更し、全ての業務を引き継ぐ。現在、自主運営の「にんしんSOS東京」「PUPU(中絶後の相談窓口)」の他「にんしんSOS埼玉(埼玉県より受託)」「にんしんSOSちば(千葉県より受託)」の窓口も運営している。365日年中無休で相談を受け付けており、必要に応じて同行支援も行っている。「にんしんSOS東京」だけでもこれまでに7,500名を超える相談が寄せられた。相談支援員は、助産師・看護師・保健師・社会福祉士・精神保健福祉士・公認心理師・保育士など他職種のスタッフがそれぞれ専門性を活かし多面的に支援を考える。2020年6月から居所のない妊婦のための宿泊可能な居場所「ぴさら」も運営を開始。豊島区を中心に、10代・20代の子ども・若者があつまる場所に出向いて包括的性教育を実践する「ピコの保健室」も展開している。相談窓口や居場所の運営の他に、支援員のスキルアップや「妊娠葛藤」や「性と生殖に関する健康と権利」に関する啓発活動・政策提言も積極的に行っている。2021年4月には「妊娠葛藤白書」を発行した。
「にんしん」をきっかけに誰もが孤立することなく自由に幸せに生きていくことができる社会へ
皆さんは妊娠、出産と聞いた時、どんなことを思い浮かべるでしょうか?
私たちピッコラーレは、妊娠葛藤相談窓口【にんしんSOS東京】で、これまでに8000人を超える「妊娠が困りごとになる」方と出会ってきました。
「妊娠が困りごとになる」のにはさまざまな理由があります。その中でも一番リスクの高いのは、虐待死にいたってしまう妊娠です。日本では、児童虐待死で最も多いのは生まれたその日に亡くなる命です。そのほとんどが妊婦健診未受診で、母子手帳を持っておらず、病院以外の場所でたった一人きりで出産しています。
ひとりぼっちでの命懸けの出産の結果、赤ちゃんが亡くなり、出産した方は罪に問われている。そんな悲しい出産をなくしたい、誰にも言えず妊娠をひとりぼっちで抱えている方と、「妊娠したかもしれない」、「どうしたらいいかわからない」そんな時から繋がりたい、そう考えて妊娠で葛藤する方の相談窓口、にんしんSOS東京を2015年12月からこれまで365日休まず運営してきました。
電話やメールでの相談だけでなく、必要に応じて実際にお会いして医療や福祉に繋ぐ同行支援も実施しています。
ある時、臨月間近のお腹の大きな妊婦に出会ったことがあります。彼女は荷物の配送倉庫で、日雇いの仕事をしながら幹線道路沿いのネットカフェを点々としながら病院に一度もかかることなく暮らしていました。自分のことを「透明人間みたい」、そんなふうに言っていた彼女を行政の窓口にお連れしても、「ここにいたい」そう思える場所はありませんでした。
ないなら作ろう、彼らがHOMEと感じられるような居場所が必要だということで2019年7月より豊島区に「ぴさら」という場所を作り、居場所なく漂流している妊婦の受け入れをはじめています。
「妊娠が困りごとになる」背景には、「自分の身体は自分で決める」ことができない私たちの社会システムの課題があります。
ピッコラーレは「自分の身体は自分で決める:性と生殖の健康と権利(SRHR)」と言う概念を知っている人を社会に増やし、包括的性教育にも取り組んでいます。
妊娠をきっかけに誰もが孤立することなく、自由に幸せに生きていくことができる社会を目指して、これからも取り組みを進めていきます。