人命救助の功績
道本 正行
平成21年8月28日午後3時30分頃、箕面市箕面公園の箕面川沿いにある売店付近で、男児が溺れていると知り、 約8メートルもの高さの垂直に近い崖を降り、上着と靴を脱いで水中に入り男児を確保し、到着した救急隊に男児を引き渡し救助した。
昨年8月28日午後3時頃、箕面国定公園の遊歩道で、釣鐘ケ淵を見下ろしている3名の中年女性に、何事かと近づき、見ると服を着た小学校5年生ぐらいの児童が、浮き沈みしていた。
「溺れている、助けてあげて」
瞬間、私は走りだし、本能的に遊歩道から最短の距離で直行できる淵の直上を選び、柵を超え、川面に直降、軟着するための青木をめがけ、約8メートルを飛び降りた。
淵の上流ですぐに脱衣し、胸までの水中を、岩伝いに背後から近づき、左手でツタを掴み、両足はそれぞれ岩の出っ張りに置き、しがみつかれることを想定しながら、右手で児童の左手をつかみ引き寄せた。
同時に暴れられないよう、ガチッと体を密着させて、「もう大丈夫だよ」「安心だよ」と目を見て話しかけたが、無反応で意思が全く伝わらないことが分かった。
安心させ、浅い所にと思ったが、児童の動きが予想できないため、動かず、多数の応援を得た方がと判断して、遊歩道の人影に声をかけたが水音でかき消され、通じ難かった。
やきもきするうち、児童の引率者が上流に現われたので、公園の管理事務所にロープを持ってきてくれるようにと依頼した。
約10分して事務所員が来てくれたが、片手で児童を抱え、もう一方でロープを掴み、安全な場所に移動して、その上に崖上の遊歩道へ抱え上げるのは至難と判断して、市の救助隊への連絡を依頼した。
そうこうするうち、ふと児童を見ると唇が紫色になっているので、救助隊は未着だったが、児童を抱え、淵の上流と直上から垂らされたロープで水中を移動し、待ち受ける事務所員に児童を託した。
その後はすべてを救助・救急隊に任せ、箕面市消防署の事情聴取に応じた。
今も、箕面市消防局の組織的かつ敏速な救助行動に安堵したのを覚えている。