人命救助の功績
石田 敦士
平成21年8月1日14時15分頃、静岡市駿河区用宗港東側突堤で家族と釣りをしていたところ、反対側の突堤で溺れている男性を発見し駆け付け着衣のまま海に飛び込み、水没していく男性を岸まで移動させ救出し、救急隊到着までのあいだ心肺蘇生法を施し救助した。
当日、妻と2人で用宗港で釣りをしていた。すると対岸に泳いでいる人影を妻が発見した。 初めはふざけているのかと思い気に留めなかったが、「おじさん、これに掴まって!」という声が聞こえてきた。見ると、岸壁の上の女性が海に浮いている男性にロープを掴ませようとしている。男性はロープを掴めずに水飛沫を大きく上げ始めた。ただならぬ事態が起きていることにようやく気づいた。
対岸まで走り女性の元に着いた時、男性は既に顔を海面に伏せ立ったまま浮いていた。近くにいる釣り人に「救急車!!」と叫ぶと「今、呼んだ。」という返答があったので、すぐに海に 飛び込んだ。男性の顔が水面から出るように後ろから抱え、スロープまで泳いだ。微かに感じる温もりに、まだ大丈夫、助かるという思いを強め、懸命に呼びかけながら泳いだ。何とかたどり着いたスロープは滑り、滑るたびに足の裏が切れ、男性を引き上げることができなかった。 駆けつけた妻は妊婦であったため手助けができず、集まってきた人たちに助けを求めた。一人の男性が腰まで水に浸かって助けにきてくれた。2人で海から引き上げたが、既に心肺は停止していた。直ちに心肺蘇生術を行った。人工呼吸、心臓マッサージを3セット終えるくらいで息を吹き返した。同時に救急車が到着し、迅速に搬送されていった。
私は小学校で教職に就いているが、私たち教職員は毎年プール開き前に自校で救命講習を受講している。消防署やそのOBの方々、人の命の重みを肌で知る方々からの熱い指導が今回の私の救助活動に結びついたことは明白である。心から感謝している。