人命救助の功績
川口 太郎
秦 康平
河村 誠
上園 広宣
平成21年5月1日午後5時頃、博多市博多区の御笠川沿いの道路でボール遊びをしていて川に転落した男児を川口氏、秦氏が川に飛び込み確保し、河村氏、上園氏の協力により男児を護岸に引き上げ救助した。
川口 太郎
この出来事に遭遇したのは、会社に帰る夕方でした。
車で橋を渡り、左折すると主婦が携帯をかけながら騒いでいるのが目に入りました。まさか、と思いながら、車を降りて川を見てみると、子供が50cmほど沈んでいる現場に遭遇しました。
とっさに川に降りるところを探しましたが見当たらず、4〜5mある崖を降りるしかないと思い、崖にぶらさがりすべるように落ちて川岸に着地しました。
ちょうど私が川岸に降りた時に、秦さんが走ってこられて、お互いに飛び込めるかを確認してすぐ飛び込みました。上園さんがネクタイを垂らしてくれたのですが、そのお陰で本当に助かりましたし、これで助かると思いました。そこに河村さんと上園さんが加わり、河村さんが半身、身を自分の方に投げ出し、手を伸ばしてくれたので、子供の手を渡し引き上げてもらいました。
子供はと聞くと、脊中を叩いたら水を吐いて呼吸していると聞き、生きていることをそこで確認できました。3日後ぐらいに子供とご家族が、無事退院して元気になったと報告に家まで来てくれた時は本当に良かったと思いました。
秦 康平
「誰かー助けてー」という女性の声で私は子供が溺れている事を知りました。すぐに緊急事態だという事がわかりました。救助している時は無我夢中で何としても助けてやりたいという気持ちで必死に泳ぎました。一緒に救助を行った4人のチームワークも偶然現場に居合わせたにもかかわらず完璧だったと当時を振り返るとそう思います。そして何より救助した子供に意識があるとわかった時が一番うれしかったです。今後このような名誉にはじないように社会へ貢献したいと思います。
河村 誠
出張帰り、空港へ向かう途中、偶然車で橋を渡っていた時の事でした。川に何かが浮かんでいるのを発見しました。私は橋を渡り切る数秒と短い間に頭の中で、浮かんでいる物がゴミなのか?バケツなのか?それとも大きなボールなのか?と駆け巡りました。しかし、もしかしたら「子供」かな?と思った瞬間、車をすぐに乗り捨て渡って来た橋を全力で走り戻り、川に駆け寄りました。既に川に飛び込んだ人が子供を岸まで寄せていました。しかし、水深がとても深く足をかける所も無く、さらに岸に上げるのに高さがありました。飛び込んだ人も立ち泳ぎをしている状況であり子供は意識がなく浮いている状態でしたが、すぐに側にいた人に私のズボンのベルト部分を後ろからしっかり支えてもらい、精一杯手を伸ばし何とか子供の体の一部に手が掛り引き上げる事が出来ました。引き上げたあとも意識は無く、ぐったりとしたままで危険な状態でしたが、周りから「背中をたたけ」という声があり、一緒に救助した人が背中をたたくと意識が戻りました。無事、意識が戻った後、救急車で病院へ運ばれ「ホッ」としました。数週間後、電話があり「ありがとうございました」と本人から言われ、本当によかったと思いました。
上園 広宣
得意先回りを終え、会社へ帰るため御笠川沿いを車で走っていると、「子供が溺れている」と女性が大声で叫んでいました。急いで車を降り、川を見てみると、子供が川の中で沈みかけていました。道路から川岸まで3〜4m位高さがあり、すぐに飛び降りることもできずにいました。
やっと川岸に降りるところを見つけて、全力で走っていくと、既に秦さんと川口さんが川に飛び込んでいました。2人は子供を抱きかかえていましたが、川が思ったよりも深く、川岸まであと少しの距離を近寄ることが出来ずにいました。このままでは全員が溺れてしまい危ないと思い、私が自分のネクタイを使って、2人と子どもを川岸まで引き寄せました。しかし護岸がとても高く、滑って、子供を私一人では引き上げられませんでした。そこに駆け付けた河村さんが、寝そべり身を前に乗り出し、私が落ちないように後からズボンのベルトを持って支えて、2人で子供をなんとか引き上げることができましたが、子供はぐったりとして意識がありませんでした。
子供を横にして私が背中を強くたたくと、水を吐き出し意識が戻りました。その後、子供を毛布でくるみ、救急隊の到着を待ちました。