社会貢献の功績
北飛山岳救助隊
戦後における登山ブームの高まりによって、北アルプス飛騨側でも遭難事故が多発するようになり、これに対応するため、山岳遭難事故防止と安全で迅速な救助活動を行うための体制作りが求められるようになった。昭和 34 年7 月「北アルプス連峰における登山者の遭難防止を図るとともに、警察の行う遭難者の救助活動の万全を期する」事を目的として、地元有志(山案内人、山小屋関係者、猟師他)の働き掛けで岐阜県北アルプス山岳遭難防止対策協議会が設立され同時に、民間による北飛山岳救助隊が設立された。
当救助隊は発足してから 50 年になる。私が入隊したのは発足 12 年後の昭和 45 年1 月である。聞いた話では、発足当時の活動は装備も十分でない中、救助活動や訓練等を行なったと聞いている。当時北アルプス登山者は、ほとんどが大学生や社会人山岳会で、遭難と言えば雪崩など規模の大きな時に出動があったようである。通信手段もなく第一報は遭難者の同行者が現場から徒歩で警察派出所へ知らせ、救助隊が人員を集め、警察の警備隊と共に出かけたそうである。時の警察はまだ山に精通している隊員は少なく、救助隊が主力だったようである。
私が入ってからでも通信手段は感度の悪い大きな無線機が何台かあっただけで、やはり第一報は徒歩かアマチュア無線の傍受でしかなかった。現在では携帯電話で「少し疲れて歩けない。」と云う安易な救助要請から、場合によっては、救助する側にとって危険を冒してでも救助に向かわなければいけない場合もある。現在は岐阜県警山岳警備が充実し、天候さえよければ県警察航空隊のヘリコプターがとんでくる。夏のシーズンでは、山麓の基地に常駐して居れば30分もあれば救助できる。
救助隊員は現在37名。28歳から60歳までの山好きなメンバーで、全員が自営業やサラリーマンである。年間活動日数が救助を別にして約70日、各隊員が休日を利用し有給を使いながら、24時間体制で県警警備隊や航空隊との連携をしながら遭難防止対策活動をしている。
50年間の活動で、無事故で700件以上の遭難事故に出動し、1,193人の遭難者を救助できたことを誇りに思っている。諸先輩や関係各位に感謝し、今後の遭難防止活動に鋭意努力しながら、山の事故が減少する事を願い活動を続けるものである。
(隊長・竹腰 藤年)
受賞の言葉
12月5日発足50周年記念式典で、岐阜県副知事、公安委員長、警察本部長等170名参加の中社会貢献者表彰を披露できました。全員が大変名誉なことと喜んでいただきました。 今後は今回の受賞の重みを感じながら、50年間救助隊が多くの遭難現場に出動し、無事故で活動出きた実績を踏まえ、山岳遭難が減少する啓蒙活動や、救助活動を行い一人でも多くの遭難者の救出が出来るよう頑張ります。