NPO法人 チュラキューブ
地域の障がい者福祉・少子高齢化のまちづくり、伝統工芸や農業の低迷など「社会の困りごと」を解決するため、様々なソーシャルビジネスを創出している団体。中でも、大阪発のビジネスモデルとして、企業が障がい者を直接雇用し「地域のお困りごと(社会課題)解決の担い手として出向する」新しい障がい者雇用の仕組み「ユニリク(ユニバーサル・リクルーティング)」を作り上げた。2021年、企業が障がい者を雇用する「法定雇用率」は、100人あたり、2.3人になり、企業はより多くの障がい者を雇用する必要があるが、現実的に、採用・定着が難しい時代に入っている。その一方、社会には貧困や孤立、産業の低迷、人手不足などの課題も山積している。そこで、チュラキューブは、企業、障がい者、地域、それぞれの課題を同時に解決するソーシャルビジネスを展開。高齢化と空室が進んだ団地に地域の住民が集まれる食堂を開催。大手企業が直接雇用した障がい当事者が食堂で働いている。他にも、手先が器用な障がい者には後継者不足に悩む京都・伝統工芸の採用や、長時間働くのが難しい人には「短時間雇用」の新聞配達員等、次々にユニリクを生み出している。企業が直接雇用することにより、障がい当事者の賃金は格段に上がり、障がい者の自立や生活向上、自己肯定感を高めている。地域、企業、障がい者の課題を掛けわせて、すべてがウィンウィンになる仕組みは、新しい未来を創ることに貢献している。
この度は社会貢献者表彰に選んでいただき、誠にありがとうございました。1つの目立った活動ではなく、活動をはじめてから15年のすべての取り組みに注目してくださり、その上で受賞者として選んでいただけたことがとてもうれしく、また心からありがたく思っています。
NPO法人チュラキューブは、当初、障がいのある人たちが通う福祉作業所の工賃向上を目的としてスタートしました。就労継続支援B型事業所では、一ヶ月働いたとしても1人1人の手元に残る工賃は、全国平均で月額約16,000円。障がい者年金はありながらでも、けして裕福ではない毎日を暮らす当事者の皆さんを、ビジネスモデルを持ち込むことで応援できないかと「お墓参り代行サービス」「書籍スキャンサービス」など、多くの施設と連携し、たくさんの事業を起こしてきました。
そして、今回の受賞にあたり、一番注目をしていただけたのは、障がい者雇用にハードルを感じている企業と、交流が途絶えてしまったシニアが多く住む団地をつなぐ空き室活用ランチ食堂「杉本町みんな食堂」の取り組みでした。企業の中で無理やり障がい者を雇用した場合「働きがいを感じられない単純作業」「深い関わりが生み出されづらい人間関係」などの影響で、特に精神障がいのある人の場合、一年間で半数の人が離職をするという現実があります。杉本町みんな食堂は、スピード感や効率性を求めず、企業に雇用される障がい者スタッフたちが、地域で困っているシニアのためのランチ食堂を開くことで、のんびりとした空気の中で、地域の食の健康に寄与し、人と人との繋がりを再生させていきます。ランチ(一食400円・コーヒー付き)の15席の食堂は、多い日には30人を超える方々が足を運んでくれるようになり、精神障がいのある人の離職率は限りなく0に近い状況を作ることができています。NPO法人チュラキューブは、この食堂の取り組みをはじめ、これからも障がい当事者と雇用する企業が力を合わせ「障がい当事者が社会課題解決のヒーローになる」をテーマに、ジャンルを問わず社会の困りごとに関わり続けたいと思っております。障がいのある方が笑顔のままで働き続けることができる国を目指したい。企業✕障がい者雇用✕社会課題の掛け算で、関わるすべての人にハッピーを生み出せるよう力を尽くしてまいります。改めて今回は誠にありがとうございました。