テキスト訳グループ「あいフレンド」
福岡市で活動するテキスト訳グループ。東日本大震災の際、視覚障がい者のために、災害情報をパソコンやスマートフォン、その他のデジタル機器を使って、文字情報を音声で読めるようにテキストデータ化して欲しいという要望が多く寄せられた。その後災害情報以外の分野でも広くテキスト訳のニーズが高まったことから、2012年に全国の音訳ボランティアネットワーク(音ボラ)において「テキスト化プロジェクト」が始まった。地方拠点作りの重要性から、全国に先駆けて福岡市でも講習会などを行い、2015年にボランティア有志によって発足した。視覚障がい者の暮らしを豊かにすることに大きく寄与している。スマートフォンやパソコンを利用する視覚障がい者が増加している昨今、テキスト訳のニーズは今後更に高まるものと予想され、その活動が期待されており、コロナ禍でもオンラインでの定例会やデータのやり取りで役割分担を行い、試行錯誤しながら、必要とする方のために活動を継続している。このテキスト訳は手作業による正確な文字データを作成することから、書籍等の点訳・音訳にも活用できるため、視覚障がい者へ多岐にわたる情報を届けることができるようになるなど、ボランティアグループの垣根を超えた連携・協力の取組みも生まれている。
この度は栄えある表彰を賜りましたことを会員一同大変うれしく思い、心より感謝申し上げます。
「あいフレンド」は視覚障がい者のために、印刷された文字をテキストデータに変換する「テキスト訳」という活動をしております。テキストデータにすると、今はパソコンやスマホで上手に読み上げてくれますので、目が不自由な方が簡単に音声で情報を得ることができます。
テキスト訳のほかに、視覚障がい者が情報を得るための方法として、点訳や音声訳が広く知られていますが、それぞれに特徴があり、適した使用法があります。テキスト訳は作業が速く、急を要する依頼に向いています。また、漢字を確かめたりアルファベットのスペルを確認することもできるため、学習にも適しています。
テキスト訳は点訳や音声訳より歴史が浅く、視覚障がい者にもまだまだ広くは認知されていません。しかし、これからはパソコンやスマホを使う視覚障がい者も増えてくると思われ、よりいっそう大事な情報取得手段となっていくことと思います。
最後に今まで手掛けきたテキスト訳作業を紹介します。視覚障がい者が仕事として講演会で使用する資料や、教師として学校で教えるための教材、学生が使う入試問題集や資格取得のための問題集など。また生活に必要な電気製品の取り扱い説明書、さらに趣味で習っている楽器の楽譜や各種団体の月間広報誌など多種多彩です。残念なことに、まだボランティアの人数が十分とは言えず、すべての依頼に応えることはできていません。
また、私たちが暮らす九州は地震や洪水、台風など各種の災害が多い地域でもありますが、災害時に必要な情報をテキスト化することで、災害時の障がい者支援が出来ないだろうかという思いもあります。
この受賞を機に広報活動やメンバーの養成にもいっそう力を入れ、いつか福岡だけではなく、九州全体にテキスト訳の拠点を広げていくことを目指し、会員一同、これからも励ましあいながら活動していきたいと思います。有難うございました。
代表 河野 宏範