NPO法人 さくらねうねう
「さくら」は避妊去勢手術をした猫の耳の印が桜の花びらに似て桜耳といわれることに由来し、「ねうねう」は、源氏物語に出てくる猫の鳴き声の表現。猫のTNR(保護し、不妊去勢手術後に元の場所に戻す)活動を行う団体として、2010年から活動を始め、2018年にNPO法人となった。理事長の藤好建史医師は、自身が開業するクリニック周辺に当時、外猫が多く、交通事故や病気、殺処分、毒餌等の被害に遭う猫たちの悲惨な状況を目の当たりにし、保護活動を開始した。熊本地震後に野猫が増えたことから、人口9,500人の村では1年に300頭以上の不妊去勢手術を実施した。独居老人が増える中、安心して餌やりができる地域猫の存在は、高齢者の和みにもなっている。また、藤好医師は南阿蘇に家を購入し、保護猫の専用シェルターを構えたほか、道の駅の食堂には、猫への理解を深めたり、高齢者のサロンにもなるような猫の相談所を作った。同団体の活動に多くの地元有識者が賛同・参加しており、行政や地域の理解が得やすい環境の下、組織的に機能し、活動が円滑に行われている。TNRを通じて「野良猫」から「愛され猫」へ、地域猫として安全に健康に、住民とともに生きることを活動の目的としている。
本日はこのような、日本のNPOの憧れの賞を頂けることになり、野良猫のTNR活動にかかわってきたボランティア達の苦労が報われたこと、皆に代わってお礼を申しあげます。ありがとうございました。
我々の日常業務の医学の世界はまるで音をたてる程の勢いで変化しており、人という生物の本質に迫りつつあります。これに伴ってほんの10年前まで常識だと思われていたことが実は間違いであることも出てきました。もっとも新しい発見は人と動物の体内の菌が行き来することが発見されたことにあります。
即ち、人が人になったのは16000年前、人が犬と生活するようになり、犬の持つ細菌が人の腸内に入り込み人がまったく消化出来なかった食物からエネルギーを手に入れることが出来るようになり、食物探しの為の時間が短くなり、生活の中に時間の余裕が生まれ、これが農業を開始するきっかけとなったと言われています。
更に、農業によって食物を貯蔵するようになったため、ねずみから食物を守ってくれる猫と共存するようになり、今度は猫の共生菌が人の腸内共生菌に加えられ、更に時間の余裕が生まれ、文明という人、特有の世界を作り出したのが8500年前と言われています。
加えてこの頃から家畜として多くの種類の動物と共存することとなり、人の腸内細菌はますます複雑となっていきます。
人は哺乳類の中で、頭抜けてなんでも消化でき、エネルギーに変えることの出来る腸内細菌を持つようになり、人は科学文明を手に入れました。
所が、効率化が進められていく中で画一的な肥料を保った農業や画一的な飼料による酪農がこの100年急速に進むにつれ、我々の食の画一化、単純化が進み、これによって動物との共存の中で手に入れた複雑な腸内細菌は少しづつ単純化し始め、人々の免疫機構はゆっくり、破綻し始めたと言われています。
特に1970年頃から人の都市への集中が進み、動物との直接の触れ合いが減少した結果、人の腸内細菌は急速に数を減らし、癌や糖尿病、免疫病の原因を作りだしてしまったと言われています。
私たちのNPOは元熊本市長を中心に世安会議という名前の会を2ヵ月に1回開催しており、その目的は「熊本の人と動物たちのしあわせな未来づくり会議」としています。
人がより多くの動物と共存し、食の複雑さを自然農法によってとり戻すことで、我々熊本人の精神と肉体の健康を全国に先駆けて取り戻すための会議で、地元デパートや日航ホテル、日産自動車等、熊本を代表する方々の協力を得て動きだしています。
10年後、安倍昭恵さんに我々熊本の人と動物たちの驚く程の健康でしあわせな世界をお見せ出来るよう頑張ります。
ありがとうございました。
理事長 藤好 建史
2010年頃、熊本市の大水害のあとから、野良猫が各地に多数発生する事態がおこり、特に熊本市はお城を中心に大きなお寺を配した町作りになっており髙い塀と木々の中にあり、猫にとってはとても住みやすい所ですが、お寺に出入りする人々が猫に餌を与える為、次々と猫が増え、子猫の事故やカラスに食べられるという事態がおこり始め、お寺のわきでクリニックを開業しておられた藤好医師が猫の保護を開始されました。
保護した子猫はみるみる増え、クリニックの2Fの部屋に23頭となり、私の竜之介動物病院に相談に来られました。
私どもも年2回2月と11月に丸1週間を使って猫の無料避妊手術のキャンペーンを行っており、1回の頭数は2,000頭にも及びます。
しかし、常時は対応出来ていないため、キャンペーンの間を埋める目的でTNRのNPO立ち上げをおすすめしました。
藤好医師はこの考えをよく理解され、ただちに熊本の多くの方(日産自動車、商工会、青年会議所、元保健所長等々)に声をかけ、すぐさまNPOを立ち上げTNRを開始。わずか3年で1,000頭の手術を達成し、捕獲かつ手術、リターンの流れも十分に慣れた人々が行うことでスムーズに推移しています。
又、パチンコ屋、葬儀屋の協力も取り付け、各店の駐車場で大型トレーラーを使った譲渡会も始まっており、阿蘇では買取った別荘を利用した病気や外傷の猫のためのシェルターも出来上がっています。
多くの方々を巻き込んで野良猫を地域猫へ、という合言葉で最近では町中にほとんど野良猫を見ることがなくなりました。
今後も多くの心ある仲間たちと共に熊本の人と動物の幸せな共存の未来も目指して頑張ってもらうことを期待しています。
推薦者 德田 竜之介