受賞者紹介

第56回 社会貢献者表彰
はやかわ ちあき

早川 千晶

(ケニア)
早川 千晶

ケニアの首都ナイロビの一角に人口20万人とも200万人ともいわれるアフリカ最大規模のスラム街「キベラスラム」が広がる。その「キベラスラム」で貧困家庭の子どもや孤児・虐待を受けた子どもたちのための学校「マゴソスクール」を1999年設立。2階建ての校舎は、幼稚園から小学8年生まで、障がい児特別学級、自立支援の技術教室がある。生徒数は520名程、授業料や朝と昼の給食費は無料。その他マゴソスクール内に家族や家を失くしたり、極度の貧困や病気等の子どもたちが共同で生活する家がある。常時約40名前後が居住している。ここは子ども以外の大人でも、事情のある人が住んでいる。マゴソスクールを卒業して、高校生や大学生になった子どもたちに奨学金を出し常時50名以上の生徒の学費支援も行っている。その他、食糧支援、農村やスラムの貧困者へ収益事業、医療費の支援等も行う。1999年より日本各地の小・中・高校・大学などで講演会を行う中、活動に共感する人たちが2015年「マゴソスクールを支える会」を設立し、会費、寄付、募金箱設置、グッズ販売等の支援を受けながらも、早川さんは現在も個人の立場で独自に活動資金を作り出し、孤児救済・教育支援・貧困者自立支援等の活動を続けている。

ケニアで暮らして33年、キベラスラムという貧困地区で様々な生活困窮の状況にある人々と共に生きてきました。困窮児童や孤児のための学校「マゴソスクール」と児童養護施設を設立、数多くの貧困者に仕事を提供し、どん底にある子どもたちを救済、スラムの人々へ医療の支援や生活立て直しのお手伝いをしてきました。目の前に次から次にやってくる様々な問題に対して、無我夢中で対応してきた年月ですが、ふっと気づくと、子どもたちは力強く成長し、この国の未来を担う立派な意志を持つ若者たちに育っていました。私は、ひもじい子どもたちに食べ物を、病に苦しむ人々に医療を、そして誰もが温かい寝床で安心して寝て欲しいと願い、ひたすら支援をしてきたけれど、そんな中で子どもたちは学び、成長し、誰もが幸せに生きられる世の中を作るにはどうしたらいいのかと彼ら自身が考え、行動するようになりました。マゴソスクールで育った子どもたちが、いま、大人になり活動の中心を担ってくれています。

この活動を通じて、私は日本全国各地の小中学校や高校、大学と交流を持つようになり、日本社会の抱える問題や、子どもや若者たちの心の問題に深く接するようになりました。そして、ケニアのマゴソスクールから発信するメッセージが、日本で問題を抱える多くの子どもたちに影響を与え、希望を生み出していく様子を間近に見てきました。人と人とは出会い、寄り添い合って触れ合い、理解し合うことで、奇跡のような力を生み出していきます。私は、この地球に生まれてきた人間一人一人が、その命を最大限に活かして、精一杯生き、今よりも平和な世界を作っていくための確かな力を生み出していきたいと願います。誰もが命の尊厳を守り、その命をまっとうすることができる社会を、今よりも良い明日を、地球の仲間たちと共に生み出していきたいと願います。そのためには、世界のどこで生まれても、等しく学ぶことができる教育のチャンスを。人間にとって真の豊かさとは何かを追求し、この地球の宝である大自然と命を守り、私たちが死んだあとも続く次世代へとつなげていくために、今できることは何か。差別や格差を超え、世界中すべての人間が手を取り合い、分かち合い、支えあって生きられる社会を目指して、これからも活動を続けていきます。

ケニア在住、マゴソスクール代表

  • 職業訓練の洋裁作業所
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  • 1999年スラムの孤児マゴソスクールが始まる
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  • キベラスラムの貧困地区
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  • ジュンバ・ラ・ワトト(子どもたちが 共同生活)
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  • スラムの若者たちのメンターシップとエンパワシップ
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  • 毎日朝と昼の給食
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