認定NPO法人 大阪被害者支援アドボカシーセンター
1995年阪神淡路大震災後の被災者支援活動「大阪YWCAこころのケアネットワーク」を母体として1996年前身の「大阪被害者相談室」を開設。2002年に法人格を取得し「NPO法人大阪被害者支援アドボカシーセンター」に改称した。アドボカシーには権利擁護、代弁などの意味がある。2008年大阪府公安委員会より犯罪被害者等早期援助団体に指定される。ある日突然、犯罪被害にあうことで被害者や遺族が抱える精神的・肉体的・経済的・法的等の問題は一人で抱え込み解決できることではない。被害者が一日でも早く元の平穏な生活を取り戻せるように、被害者のための電話相談、面接相談、医療・行政機関・司法機関等への付き添いなどの直接支援、被害者自助グループの運営支援などを全て無料で行っている。関係機関とも連携しながら、被害者一人一人のニーズに沿った信頼できる総合的支援の提供を続けている。また、被害者と被害者支援に理解の深い社会づくりを目指して、新たな支援者養成のための養成講座、支援活動の充実のための研修、警察・行政・支援センター等の被害者支援担当者を対象とするセミナー等の開催や講演会等多様な広報啓発活動を行っている。
第56回社会貢献者表彰を受賞できましたこと、大変光栄に思っております。
当センターは、理不尽な犯罪や事故による被害を受けられた被害者、そのご家族、ご遺族に対する相談、支援活動を行っている民間被害者支援団体です。阪神淡路大震災の際の被災者へのメンタルケア活動を母体として活動を始め、本年で25周年を迎えました。この間に、犯罪被害者支援に関する法律や制度は大きく変わり、被害者支援を行う公的機関も増えましたが、私たちは一貫して民間支援団体という立場で被害者支援に携わってきました。民間支援団体が被害者支援に関わることはどのような意味があるのでしょうか。
公的機関は担当する業務やサービスの対象者が法律で決められており、その制約を超えることはできません。他方私たちはそのような制約なく、事件直後から中、長期にわたって途切れることのない支援の提供が可能です。居住地の制約もありません。支援メニューも必要に応じて臨機応変に変えたり、広げたりすることができます。実際、設立当初は電話相談のみでしたが、このフットワークの軽さで面接や付添いなどの直接的支援へと支援の幅を広げてきました。
民間だから関係機関ともフラットな関係です。常に関係機関と顔の見える関係を築き、被害者のニーズに最もマッチした機関や人(弁護士や医療機関等)を紹介することができます。
そして、一市民である当センターの支援員が職業としてではなく支援に関わることは、被害を受けた結果他人や社会に対する安心安全感や信頼感を失ってしまわれた被害者がそれらを取り戻されることの一助となるのです。被害者の方が被害を受ける前の生活に戻られるためには、これはとても重要なことで、その部分を私たちが担うことは大きな意義があります。
司法・行政・医療・教育など多岐にわたる関係他機関の皆さま、活動を財政的に支援してくださっている個人、法人、助成団体の皆さまなど、多くの方々に支えられながら25年間活動を続けてこられました。厚く御礼申し上げます。そして何よりも私たちは被害者ご本人、ご家族、ご遺族の皆さまより様々な事を教えていただきながら歩みを進めてきました。犯罪や事故で苦しむ方がいなくなることがもっとも大きな願いですが、難しいのが現状です。そうであるならば、万が一被害にあったとしても誰もが少しでも早く適切な支援が受けられるような社会を目指して、これからも真摯に被害者支援に取り組む所存です。
代表理事 大川 哲次