公益社団法人 OMOIYARI プロジェクト
大阪市淀川区でカンサイ建装工業株式会社を経営する草刈健太郎さんは、東日本大震災で物資支援や経済復興のイベントなどを行った縁から、日本財団の職親プロジェクト(少年院出院者や刑務所出所者の再犯防止を目指して、企業と連携し、就労体験の機会を提供することで円滑な社会復帰を支援し、再犯率低下の実現を目指す)に設立当初から携わり、2012年から少年院や刑務所の出所者を受け入れて雇い入れてきた。その中で見えてきた多くの課題と志を具現化し解決するために、2015年にOMAMORIプロジェクトを設立。就労者となる元受刑者の個々の個性が社会の資源となるためにも、受刑中と出所後を隔てることなく、様々な関係者と連携することで、不安なく社会復帰でき、雇用主も安心して雇入れられるように人と人、人と職とのマッチング、雇用主のバックアップに取組み、双方に寄り添う更生プログラムを提案している。代表の草刈さんは、アメリカで生活していた実妹が殺害されるという犯罪被害者の立場にありながら、ボランティア活動が好きだった妹のためにも被害者をつくらないという視点で活動を続けている。
この度、公益財団法人社会貢献支援財団の栄えある賞を受賞できましたことは身に余る光栄であります。
令和3年11月29日の式典では、受賞者(団体)の皆様の情熱に圧倒され、様々な活動内容に胸を打たれ感動をいただきました。当公益社団法人OMOIYARIプロジェクト2019年に設立されたまだだ3期目を迎えた団体です。
私は団体を代表して挨拶を述べなければなりませんでしたが、当団体のメンバーの多彩な顔触れや活動を紹介するスクリーンの動画を見ているうちに、私自身がたくさんの「おもいやり」に支えられていることに、感謝が溢れてきました。
当法人は主に、「犯罪被害者をつくらないための犯罪加害者の就労支援」を行っております。それは、企業間の連携と支えあいの「日本財団職親プロジェクト」を基盤事業に、その基盤を盤石なものとするために、様々な交流会や研修会、仲間づくりを行っております。会社経営者・専門職・元不良少年等々とされた仲間達が、互いに支え笑いあい、それぞれの人生が「前に進むために」取り組んでおります。
私は、犯罪被害者遺族であります。なのに何故犯罪加害者の支援をされているのですか?と聞かれます。私にとって、かげかえのない天使のような妹が被害者でした。その妹の意思に導かれるかのごとく、現在に至っている経緯もあります。
だからこそ強く言いたいのは、人は様々な環境で生まれ大変な苦労もされたきた事もあるでしょう…そして、自暴自棄になったり、どうしようもなく理不尽は怒りを抱くこともあると思います。だからといって罪を犯し、他者を傷つけ、大事に思ってくれる人を悲しませる理由にはならないのです。
私は、この活動を通して、人には生きなおす力があることを、確信しております。
平成28年に再犯防止法が策定され、法務省も積極的に力をいれておられます。しかしながら、制度施策に息吹をふきこみ、躍動あるものにしていくのは、行政でだけではなく、私達の民の力が手をとりあい、力を合わせることが必要です。
再犯防止・更生保護、すぐに結果の出る取り組みではありません。ただ、この度の社会貢献者表彰の授賞式では多くの皆様の多様な活動を目の当たりにさせていだだき、正直この日本の素晴らしさと人材の豊富さに胸を打たれました。そして、私達もより良い未来をつくらせていただいてることを矜持に仲間とともに、決意あらたに邁進したい所存でございます。
この度はまことにありがとうございました。
代表理事 草刈 健太郎