一般社団法人 Colabo
「すべての少女に衣食住と関係性を。困っている少女が暴力や搾取に行きつかなくてよい社会に」を合言葉に、中高生世代を中心とする女性を支える活動を2011年から行っている。ピンク色の移動バスによる10代の少女限定の無料の夜カフェTsubomi Caféを渋谷と新宿で定期的に開催。飲み物から食事、化粧品や衛生用品、充電器を揃え無料で提供し、相談や支援を前面に出さず、「力になってくれるところがある」ことを知って欲しいと2018年から開始した。安心して過ごせる場所がない少女が一時的に滞在できるシェルターと自立に向けた少女が主体的に生活を送れるようにサポートするシェアハウスも運営している。また日本では「援助交際」などのことばで誤ったイメージで語られてきた「児童買春」の現実を伝えるため、“買われた”女性たちの声を伝える企画展「私たちは『買われた』展」を2016年から各地で開催している。
この度は活動を表彰していただき、ありがとうございます。私たちは虐待や性暴力被害に遭うなどした少女たちを支える活動を行ってきました。活動は、2011年5月にはじめ、10周年を迎えました。
Colaboの活動は、私自身の中高時代の経験から、家が安心して過ごせないとき、頼れる大人のいないなか、街やネットをさまよう少女たちが性売買の斡旋業者や買春者からしか声をかけられず、性搾取の被害に遭う現状を何とかしたいと思ったことから始まりました。15歳、16歳だった2005年ごろ、私は家に帰りたくなく、渋谷の街を月25日さまよう生活を送っていました。高校を2年生の夏に中退後は新宿歌舞伎町で過ごすようになりました。街には同じように、居場所や頼れる大人がいない少女たちがいて、ビルの屋上に段ボールを敷いて一夜を明かすことも度々ありました。そんな私たちに声をかけて来るのは、買春者か、性搾取の斡旋業者しかいませんでした。私たちの周りでは、性暴力被害や望まない妊娠が毎日のように起きていました。
今でもその現状は変わっていません。2013年に自身の経験をまとめた『難民高校生』を出版し、大学卒業に合わせてColaboを法人化しました。街をさまよう少女たちと出会い、つながるため、声掛けによるアウトリーチ活動をはじめ、自分自身も中高生の時に一番困った『飯と宿』を必要とする子たちに自宅を開放していました。そのなかで、当時は「JKビジネス」という言葉もありませんでしたが、そこで被害に遭っている少女たちとの出会いが多くなり、2014年に『女子高生の裏社会』を出版し、実態を告発しました。
2015年には「東京都青少年問題協議会」委員に就任し、米国国務省の人身取引報告書に調査協力したことから、日本の児童買春やJKビジネスの実態を伝え、国際社会から問題が注目されるようになりました。
女の子たちが、夜でも、いつでも駆け込めて泊まれる場所をつくりたいと、2015年5月に一時シェルターを開設しました。2016年4月には、泊まるところだけでなく、暮らせる場所が必要だと、中長期シェルターをシェアハウスとして3部屋開設しました。8月には児童買春の実態を少女たち自身が伝える「私たちは『買われた』展」を初開催し、11日間で約3千人が来場、大きな反響を呼びました。
2017年7月には、東京都でJKビジネス規制条例ができました。9月に中長期シェルターを増設し、2軒6部屋になりました。2018年7月「厚労省困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会」構成員に就任し、現在の女性支援の根拠法になっている売春防止法が差別的で問題の多いものであることを指摘し、これからの包括的な女性支援のあり方について提言しました。10月には、Colaboの活動が厚労省・東京都の「若年被害女性等支援モデル事業」に選定され、10代女性無料のバスカフェ『TsubomiCafe』を開始しました
2019年1月には、一時シェルターを増設し、2物件に。7月、中長期シェルターを増設し、3軒9部屋となりました。Colaboのような活動を全国各地に広げることにも力を入れ始め、全国の支援者向けの研修を開催しました。2020年はコロナの影響が深刻化するなか、中長期シェルターを2軒増設し、合わせて5軒15部屋になりました。
2021年4月には、厚労省・東京都の「若年被害女性等支援事業」が本事業化。5月、新宿歌舞伎町に、活動拠点を新設し、少女たちのおかれた現状を改善し、政策提言を行うための調査研究チーム立ち上げました。現在、性売買のなかから抜け出したいと考える女性たちが相談できる場所がないことから、脱性売買相談所の運営に向けた準備をしています。
コロナ禍で女性の貧困や自殺がこれまでにないほど深刻になっていますが、芸能人がラジオでやむを得ない事情で女性が性風俗で働くことを待ち望むような発言をするなど、性搾取を容認し、女性を性的に消費し、暴力にさらすことを楽しみにするような発言が堂々と言えてしまう社会を変えることは緊急の課題です。
これからのColaboは、10代の頃にColaboのような活動に出会えないまま今も性売買の現場にいる女性たちを支える取り組みを考えていきたいと考えています。
私たちが10年間活動を継続し、女の子たちの生活を支え、社会を変える力となることができたのは、市民の方の理解や協力、たくさんの具体的なご支援があったからです。これからも想いを共有し、具体的なご支援や行動をもって、現状を変えるために多くの方が活動を共にしてくださることを願い、信じています。
代表理事 仁藤夢乃