認定NPO法人 ザンビアの辺地医療を支援する会
2012年からアフリカザンビアで病院やヘルスセンターから遠く離れた僻地で十分な医療を受けられない人々への巡回診療を行っている。会の現地活動部隊の山元医師はJICA専門家としてザンビアで地域保健医療にも携わった経験を持ち、のちに現地の医師免許も取得。
現在、病院やヘルスセンターへ行く移動手段のない4つの地区へ巡回診療に赴き、診療も薬も全て無償で提供している。山元医師は3か月ごとに日本とザンビアを行き来し、日本の会スタッフと連携し、講演や日本での医師活動もしながら支援活動を行っている。
現地では巡回診療のみならず、安全な水を確保するための井戸掘りや、住民啓発、マラリアで亡くなる人を減らすため、政府の協力も得て殺虫剤の散布を行うなどし、この地区では特にマラリアで亡くなる子どもの数が減少し成果を見せている。また、日本の医学生や研修医を受け入れて現地の巡回診療に同行させ、医療状況について学ぶ機会を提供している。今後は、僻地にヘルスポスト(簡易診療所)を作り、少しでも安定した医療環境を提供できるようにしていくことを目標としている。
この度、公益財団法人社会貢献支援財団から社会貢献者として、当法人が受賞の栄誉に預かり、大変嬉しく、また心から感謝申し上げる次第です。
式典には、残念ながら新型コロナウイルス感染症の感染拡大があり、出席予定の当法人理事も地域で医師として活動していることから、出席を断念させていただきました。全国から受賞された他団体の皆様と会場にてそれぞれのお立場での経験をお聞きできなかったことは重ねて残念に感じております。
当法人は、JICA専門家としてザンビア共和国の地域保健医療向上に尽力した経験の中で、都市部との生活格差が大きく最低限の医療にもアクセスできない辺地にいる人々に対し、巡回診療を行うことでその改善に取り組まれてこられてきた山元香代子医師の活動を支援するため、2012年7月に設立しました。
首都ルサカに事務所を構え、当初は車で片道約5時間を要するチサンバ郡ルアノ地区(水、電気がなく、人々は小川の水を飲料に使用している地区)に月2回の巡回診療を開始しました。診療はカヤぶきの小屋を借り、1室を診察室(診察は山元医師と現地準医師)、その隣の小部屋にわら敷きの寝台で妊婦健診室(助産師対応)とし、別の1室で受付・薬剤の配布など、すべて無償で提供してきました。その後、対象地区が増え、現在はルアノ、ニャンカンガ、サンダラ、リテタの4地区にそれぞれ月1回巡回診療に出かけています。
有り難いことに、その活動がテレビ放映にて紹介され多くの方から寄付金が寄せられたことで、2014年安全な飲料水が利用できる深井戸をルアノ地区に掘削したことを皮切りに、各地区合計20基の井戸を掘削することができました。
さらに、保健省認定の研修を地区住民に実施、コミュニティヘルスワーカー(CHW)として養成、彼らが巡回診療と次の診療の間にマラリア感染の疑いの患者などに対する検査と治療を実施できるようになりましたし、雨季の蚊の発生によるマラリア感染を防ぐため、マラリア蚊殺虫剤噴霧事業も開始しています。
2019年末までに約32,000人の診療を行ってきました。当初はマラリア陽性率が非常に高率でしたが、住民啓発や蚊帳の配布等も行ってきたことなどから陽性率は低下してきました。そして何よりも、巡回診療や、次の診療までの間のCHWの検査・治療などにより、子供を含めマラリアで亡くなる人が激減し、2016年、2018年は亡くなった人が報告されていないことは誇ることのできる活動の成果です。
現在ザンビアでは、経済状況の悪化が認められています。そのような中で新型コロナウイルス感染症の感染拡大もあり、巡回診療を継続することが厳しい状況となっていますが、多くの方の支援をいただきながら、今後とも現地の方々と力を併せ活動を進めていきたいと考えております。
理事長 日髙 良雄