山本 忠
山本さんは、豊橋市民病院で歯科医師として勤務しながら、1995年から長きに亘ってベトナムのハノイ、フエ、タムキ、ベンチェ市などで口唇口蓋裂の患者を無料で手術する医療支援を行っている。この先天性異常に対しては差別もひどく、生まれた時点で殺されてしまう人もいるが、山間部の貧しい少数民族では手術を受けられずに成人する人も多い。現地の医師に技術指導し、難易度により任せられる割合を少しずつ増やしてきたが、現在では見守るだけでよいことも多い。お金を払える患者は現地の医師が治療し、貧しい患者は山本医師がまとめて無料で治療しており、一度の滞在で30名~50名の患者の手術をこなす。こうした状況が支援をやめられない理由でもある。薬や点滴は日本から持参するが、病院側へは検査費などを支払う。少数民族は言葉が異なり通訳者同伴で訪れるので、患者には通訳代、交通費、滞在費なども渡す。負担は大きいが患者が笑顔になって帰っていく姿を見ると力になる。
毎回4、5人のチームで行くが、渡航費は各自が負担し、それ以外の現地費用は全て山本医師が負担している。また現地の病院では手術台をはじめ麻酔機などの医療機器が不足しているため、口腔外科に関わらず病院で必要な医療機器を日本で調達し、これまでにコンテナ7本分を船で送るなどして現地の病院全体への功績もかなり大きい。今後は現地の若手医師への技術指導にも力を注ぐ。
ベトナムでの医療ボランティア活動
1995年からベトナムのメコン川下流にあるベンチェ省の病院で口唇口蓋裂児の手術を行い現地の口腔外科医に技術移転を行っています。豊橋市民病院の移転に伴って使用しなくなった、手術に必要な手術台,無影灯、麻酔機、心電図計(モニター)などを譲り受けてコンテナで送り、現地で使用可能にしました。2000年からベトナムの中部地方の貧しい省であるクアンナン省の病院に行っています。ベンチェ省と同様最も多く枯葉剤が散布された地域です。この病院はベトナム中部のダナン市から南に車で2時間、農村と西に山村を控えたクアンナン省タムキー市の病院です。現地の口腔外科医に技術を完全にマスターできるよう術前、術中、術後を現地口腔外科医、医師に任せて行うことに努めています。もちろん現地の麻酔医、看護師の協力を得て手術が彼ら自身で出来るようになる事とその体制を作る事が目標です。手術に必要な器械は多く不足していました。日本から中古の器材を集め修理して使える状態で送っています、徐々に充実しています。2000年から国際ソロプチミスト豊橋と田原ロータリークラブから毎年援助をいただき活動が軌道に乗り、患者さんが広い範囲から集まり待っていてくれるようになりました。現地医師たちもかなり手術ができるようになってきました。現地医師への充分な技術移転が出来たと思っています。現地のことは彼らが行う、このことが一番大切なことと私は思っています。今後も毎年現地に行き、私は現地医師の技術移転に励みます。もう一つの事業として、この病院の設備、特に手術室の充実に取り組みました。手術件数も毎年増加しています。病棟も増築され、外来棟も大きくなり、中核病院らしくなりました。日本から医療器材(中古、新品も含めて)をコンテナ7本を送りました。トヨタのご協力により救急車も1台贈りました。事業にはお金がかかります。私を応援、支援してくださる多くの皆さんに感謝しています。
手術を受けた子供たちに微笑が見られるようになっていることを皆様に伝えたい。
近い将来ベトナムの医師により手術がされるようになるでしょう。体力の続く限りベトナムに行く予定です。患者さん本人、家族の微笑顔が私には一番の勲章です。
微笑顔に会える日を楽しみに!!
この度は、大変ありがとうございました。
推薦して下さいました広瀬紀子先生はベンチェ省での手術の麻酔医として参加した仲間です。
感謝