特定非営利活動法人 多言語社会リソースかながわ(MICかながわ)
日本で暮らす外国籍の方が、「ことばの壁」のために適切な医療を受けることができずに、時によっては命にかかわることもある。国籍、文化にかかわらず、だれもが安心して医療を受けられるような社会にしたいという思いと「ことばで支えるいのちとくらし」を活動の理念に、在日外国人の支援を行う「特定非営利活動法人多言語社会リソースかながわ(MICかながわ)」は、2002年に設立された。
医療通訳派遣として協定医療機関(69病院)へ英語、中国語、スペイン語等13の言語に対応し、年間7,000件を超える通訳を派遣する事業を中心に医療通訳の養成と研修とともに普及と啓発、学校や児童相談所等公的機関への一般通訳の派遣、外国人無料健康相談会への通訳派遣、災害時の外国支援につながる活動等、医療者と患者の間に入って「ことばの壁」を無くす活動を続けている。
この度は「特定非営利活動法人多言語社会リソースかながわ」(MICかながわ)を社会貢献者団体として表彰していただき、誠に有難うございます。
「ことばで支える いのちとくらし」
~Bridging Languages to Support Your Life~
これがMICかながわのキャッチフレーズです。
MICかながわは「外国籍県民の生活支援」を目標に2002年に発足しました。特に多くの外国籍県民が不安に思っている「医療機関での言葉の問題」を解決すべく、神奈川県との協働事業で医療通訳派遣を中心に行っている団体です。医療機関以外にも学校・家庭裁判所・児童相談所・行政窓口等々への通訳派遣も行っています。発足した2002年度は6病院に年間310件の派遣でしたが、2018年度は79病院に7,399件の派遣を行いました。言語数も5言語(中国・韓国朝鮮・スペイン・ポルトガル・タガログ)から13言語(5言語+英語・タイ・ベトナム・ラオス・カンボジア・ロシア・フランス・ネパール)に増やしました。これは、その言語の人口の推移・医療機関からの要請等を加味して増やしています。
医療現場でコミュニケーションが取れることは外国籍県民の安心だけではなく、医療機関側も安心して正確な治療が提供できることに結びつきます。生きる権利は誰もが平等に持ち合わせています。医療はその最後の砦だと思っています。我々の普段の生活の中でコミュニケーションが取れないという経験はあまりないと思います。特に病気・けがという不安を抱えている中では、その不安はどれほどのものになるでしょう。これから、ますます外国籍の方が増えていく傾向がある中で、多文化共生を実現すべく努力をしていきたいと思います。
2019年はラグビーのW杯で日本中が盛り上がりました。2020年は東京オリンピック・パラリンピックがあり、今年以上の盛り上がりとなるでしょう。当然多くの外国籍の方々が来日します。それらの方々への対応も必要になりますが、日本に生活の基盤を置いている外国籍の方々への支援を忘れてはなりません。医療通訳派遣制度は全国的には十分に普及していない状況ですが、地域によっては地道に頑張っているところもあります。今後は、少しでも通訳派遣事業の発展に寄与できるように活動をしていきたいと思っています。
最後に、今回ご推薦いただいた川口暁子様をはじめとし、これまでMICかながわの活動を支えていただいている神奈川県及び市町村・医療機関・通訳スタッフ・事務局員など関係者の皆様にこの場をお借りして御礼申し上げます。
理事長 松野 勝民