NPO法人 若者メンタルサポート協会
生きづらさを抱える子どもの気持ちに寄り添う活動を行おうと、小杉沙織さんが2012年より活動を開始し、2015年にNPO法人を設立し40名のボランティアスタッフとともに24時間のLINE相談に対応している。小杉さんは子どもの心理や現状を伝える専門家として全国での講演や、渋谷クロスFMでラジオパーソナリティとして若者の声を伝えるなど、様々なSOS行動をする若者をタイプ別に分析したオリジナルメソッドでの講座も好評を博しており、カウンセラーの育成にも力を注いでいる。コロナ禍では、毎晩「オンライン居場所」を開設し、コミュニケーション不足で不安を抱える若者たちの心の拠り所となっている。若者の声を聞いていると、10代で児童相談所等での保護を望んでいる子どもは多くない。それ故に街をさまよい歩いたり、危険な勧誘に乗ってしまったりということが少なくない。相談者の殆どは両親が不仲であったり、ヤングケアラーであったり、親からの愛情が少ない家庭環境に恵まれていない子どもたちで、親に言えない悩みを相談してくる。そのひとりひとりに相談員が担当制で対応し、連日同じ人が悩みに寄りそうことで相談者に安心感を持ってもらう。一方で依存関係にならないようなチェックシステムや研修を実施し、子どもたちの自立を目標とし、理念を掲げ活動を行っている。
日本は長く「子どもの自殺率」が世界一という悲しい記録を更新しています。
私自身が家にもどこにも居場所がない幼少期と思春期を過ごし、居場所のない孤独感が若者たちにとってどれだけ苦しく生きづらいものかということを、身をもって感じてきました。
それを乗り越えた経験を活かして、2012年にブログを立ち上げそこに自身の生い立ちと心が楽になるメッセージと連絡先を書いて「同じようにひとりで泣いている子がいたら連絡して」と始めたのが今の活動の原点でした。
「死にたい」と深夜に若者たちから届くメッセージに一人一人寄り添い、その気持ちを受け止める…気持ちが分かるからこそ、その死にたい気持ちを無闇に止めたりはしない。ただ「そんな辛い環境でよく頑張っているね、本当に偉い!」と私自身が彼らに感じる気持ちを伝え続けてきました。
勿論この10年は順風満帆ではなく、寄付金が毎月3万円という状況が長く続き、今も20万円に満たない寄付金で自費を投入しながら活動を続けています。誤解を受けること、足を引っ張られることもある中で、何度辞めたほうがいいのかと心折れそうになったかわかりません。それでもこうして続けてこられたのは「沙織さんが居るから生きています」「沙織さんに会うために頑張って生きます」と辛い環境の中でも前を向いた子たちからの言葉でした。
草の根活動は対象者の人たちから厚い信頼を受けることはできても、中々社会から認めてもらえる機会がありません。でも、その一番大切な対象者の人、私たちでいう若者からの感謝の声やそうした言葉をもらうことが私たちにとっては何よりも大きな大きなギフトでありやり甲斐でもあります。
そんな10年の活動の中で、この度このような貴重な賞をいただけましたことは私にとっても団体にとっても、そして私たちを頼ってくれる若者たちにとっても大きな励みとなるものでした。
今もこうしている時間に、日本のどこかで生きることに苦しみしか見出せず居場所がなくひとり泣いている若者たちが多く存在しています。
でも諦めずに生きていたら、自分を誰よりも大切に生きていたら、人生は大きく変わること、居場所は必ず作れることを、私自身の人生や体験を元に多くの若者たちに伝えていけたらと思います。
そしてこの表彰式で私が感じた、そんな想いを持った大人はまだまだ沢山いること、そんな大人と出会って欲しいということも、これから伝えていきたいと思います。この度は本当にありがとうございました。