社会福祉法人 佐賀いのちの電話
不安や悩み、苦しみを抱えて思い詰めている人たちに寄り添い、一人でも自殺者を減らしたい、という思いの有志が集まり1998年に設立した。寄せられる相談件数は、月平均約1,500件、年間約2万件と、全国にある50の「いのちの電話」中、佐賀県は10番目の多さである。設立以来365日、1日も休むことなく「眠らぬ電話」として活動を続け、昨年で20年を迎えた。相談員は多い時で191名程が交代で対応していたが、現在130名程にまで減少しており、相談員自身の高齢化や両親の介護等による減少と、新規相談員のなり手不足が課題となっている。
自費で養成講座を1年間受講し、実践による研修やスキルアップ研修を積み重ねて相談員となり、維持会費年6千円も自ら負担して無償での活動を行う。仕事や別のボランティア活動を兼務する人も多いことから「ボランティアの中のボランティア」と呼ばれている。真剣な相談だけでなく、怒鳴ったり、いたずらや作り話など心無い電話も少なくなく、相談員の心理的負担は大きいが、それでも本当に必要としている人のために電話の前でベルを待つ。
また、後追い自殺の予防のため自死遺族支援にも力を入れ、同じ境遇の人々が語り合える場「わかち合い(ハートの海)」を毎月一回開催している。会報「ハートの海」の発行や公開講座などによる広報啓発活動も積極的に行っており、自殺者数は実際減少しており自殺者対策に貢献してきた功績は大きい。
この度は、私ども「佐賀いのちの電話」に栄誉ある表彰を賜り、心より御礼を申し上げます。
佐賀いのちの電話は昨年(2018年)開局20周年の節目を迎えました。「自殺予防いのちの電話」として開局以来、24時間365日年中無休で、電話相談活動を続けてまいりました。
その間、ボランティア相談員約500人が交代で電話当番に入り、人々の悩みや苦しみに耳を傾けて参りました。今回の受賞は、いのちの電話を第1線で支えてくれている相談員の献身的な労苦に対する「ご褒美」だと思っています。
表彰式は豪華なうえ、厳粛なものでした。準備から本番に至る貴財団職員様の温かくきめ細かな気配りに感謝いたします。安倍昭恵会長はじめ選考委員のスピーチは、参加者に喜びと励ましを与えてくれました。表彰式の進め方も映像による紹介など趣向をこらしていただき、来場者、会場が一体となる演出がとても良かったです。
受賞者の方々の受賞内容も多岐にわたり、皆様の志や熱意に感心するばかりでした。地球規模から地方の片隅、皆様の奉仕活動を目の当たりにして、日本人の「無私の愛」がその活動の原点であることを確認しました。
いま社会では貧困や格差が拡大し、それがいろいろな社会問題をもたらしてきています。高齢者や子どもまで「生き辛さ」が広がっています。そういった人々の隣人として、いのちの電話の役割はますます高まってきています。
私たちの電話相談活動は、縁の下の力持ち的な存在ですが、孤独な人たちの精神的な援助となるよう努めています。今回の表彰式に参列し、私たちに課せられた使命を再確認し、今後一層、相談活動の向上に向け励んでいく所存です。
副理事長 吉野 徳親