NPO法人 ホザナ・ハウス
元暴力団組員という異色の経歴を持つ、神戸弟子教会牧師の森康彦さん。少年院などから退院した少年・少女の立ち直りと自立を支援するため、2011年にNPO法人ホザナハウスを設立し、法務省の緊急的住居確保事業の自立準備ホームとして登録。虐待や一家離散、いじめなどを経て、問題行動に走り、負のレッテルを貼られて行き場をなくし、公的支援制度の空白部分でさまよう子どもたちに寄り添い、居場所と食事を提供し、自立を促すよう支援してきた。
森さんは、非行の原因は養育環境にあり、そうした環境や境遇から大人になっても生き辛さを抱える、“アダルトチルドレン”になってしまうと考える。加害者であり、悪環境の中で育った被害者でもある彼らを決して全否定せず、切り捨てずに、聖書の示す愛を持って少年たちの傷を癒し、犯罪の未然防止のために日々奮闘している。現在は自立支援ホーム、放課後デイサービス、障がい者の就労機会を提供する就労継続支援B型作業所なども手掛けながら、その収益を使って子どもたちの法的支援の空白を埋めるべく邁進している。
この度は、NPO法人ホザナ・ハウスに栄えある社会貢献者表彰をいただき心より感謝申し上げます。
NPO法人ホザナ・ハウスは、2011年に加古川少年院の少年を引き受けたことから始まりました。当時は、彼らを非行少年・加害者と位置づけていましたが、実は劣悪な養育環境で育った被虐待児であって、かなりの確率で何らかの障害(生きづらさ)を有していると解かってきました。現在は、彼らが加害者である前に、社会的養護の受けられなかった被害者であると確信しています。現在までに100名を超える青少年を支えてきました。
当初は少年院出院者等の出口支援でしたが、徐々に家庭裁判所や児童相談所などから少年を預かる入り口支援に比重が移ってきています。同時に障害者としての支援も進めています。と言うのは殆どの少年が愛着障害を有しており、大人不信が擁護を遠のけている現実があるからです。
NPO法人ホザナ・ハウスは少年たちに衣食住を保証し、キリストの愛をもって接する大人のもとで心と身体の安全を守るハウス運営をしています。そこでは少年を締め付けるルールを設けず、少年の目線に立ち、寄り添うことに徹しています。支援の中心は将来の自立になりますが、何らかの障害(生きづらさ)を有している少年には、福祉に繋げるための働きをしています。また愛着を持たない少年たちに、少なくともSOSが出せるように支援するとともに、それを受けるハウス(安全基地)になりたいと活動しています。
愛着のすり直し支援は、かなりの時間を要するために大きな成果を見るに至っていませんが、大人不信の彼らが、ハウスを居場所と認識してスタッフを家族と慕う。反抗している時は自分を犠牲にしていましたが、徐々に自分の幸せを求めるものへと変わっています。
少年施設は20歳で退所になります。その後は一人暮らしになる少年が多いのですが、結婚し出産した少女、とび職で独立した少年、生活援助を受けながらも作業所に通う少年などと多岐にわたっています。ハウスではそんな少年たちのアフターケアを今も続けています。精神的な支えのなかった彼らの支えになれていることが、最大の成果と言えます。
支援を必要とする少年少女は大勢いることが分かっていますが、目の前にいる数人でも救いの手をのばせればと活動しています。
この度の受賞を糧としてスタッフ共々、今一歩前進したいと願っています。
代表理事 森 康彦