更生保護法人 鳥取県更生保護給産会
刑務所から出所した、帰る所のない元受刑者を一時的に保護して、社会復帰の支援する施設として明治32年に設立。近年では出所直後から医療や福祉の保護を必要とする人が増え、高齢化が進むことで、ますます施設の一人一人に寄り添ったケアが必要となっている。
施設は地域理解と利用者の社会参加の意識を高める為に、入所者とスタッフが近隣も含め年70回程の清掃活動に参加し、冬には道路の雪かきをして、車が通れるようにボランティア活動を行う。平成25年には、薬物処遇重点実施施設としての指定を全国で初めて受け、回復支援のプログラムの開催や、自助グループによる断酒会や薬物離脱の為の会合に職員らが車で送迎をし、継続的に参加させる努力を行う。
職員らのこうした日々の尽力により、入所者の60.70%の就労率を誇っていて、住宅支援専門職員を置く事で、自立を促している。
この度、公益財団法人社会貢献支援財団から社会貢献者表彰を受け、まことに光栄なことと心より御礼申し上げます。
当会の沿革概略は明治30年大赦が発布され、多数の釈放者を見るに至り、県内仏教界各宗寺院住職が広い宗教的視野に立ち、これらの人々の保護の必要性を痛感し保護会設立の準備を進め、明治32年に鳥取県出獄人保護会を創設し、爾来120年の歳月を経て今日に至っています。
平成8年更生保護事業法施行により更生保護施設は保護観察を受ける人の中で、住まいのない人や家族等との生活が困難な人々を保護するほか、身柄の拘束を伴い起訴猶予や不起訴処分となった人、罰金科料の言い渡しを受けた人、刑務所から満期釈放になった人々のなかで、本人の希望を斟酌して保護することとなりました。
当会も中国地方のみならず九州、近畿圏と積極的に矯正施設に赴き希望者に施設の説明を行っています。近年、刑務所への入所者は減少を続けている一方で、身体の拘束を解かれた直後から医療や福祉等の保護を必要とする人の数は増えています。また、検挙人員に占める再犯者の割合や刑務所入所者に占める再入受刑者の割合は上昇しています。ひとたび罪を犯すと社会の居場所を失いがちです。
鳥取県は国の指針を受け平成30年に「鳥取県再犯防止推進計画」を策定しました。それに伴い当会も県、市、検察庁、警察、矯正施設、定着支援センター、自立支援センター、包括支援センターと強固な連携を取り、積極的に再犯防止に取り組んでいます。多少ですが効果が表れていることを実感しています。
特に薬物重点処遇施設として週2回の依存症回復プログラム、週一回の自助グループNA、断酒会への通所等で依存症の回復に実績を上げています。また、当会地区も高齢化が進んでいますが、近隣の清掃活動、雪かき等10年来の地道な地域貢献活動により地区住民には頼られる存在となっています。
更生保護施設の役割は今後大きくなっていくと思います。今回の受賞を励みに役職員一同積極的に更生保護に取り組んでいく所存です。
この度はありがとうございました。
理事長 霜村 哲男