NPO法人 西淀川子どもセンター
保護司をしていた西川日奈子さんが、虐待防止活動を通じて、子どもの相談相手や居場所など地域での支援の必要性とその重要性を感じ2007年にNPO団体として設立。電話番号の書かれたカードを配布し、親も含めて子どもの相談にのるなど、「子どもと同じ目線」でいることを大切に、非行や不登校、高校中退等で居場所のない子どもたちに、学び直しや出会い直しの場を提供している。
また、小学校1年から高校3年生までを対象に、月に4回ほど「いっしょにごはん!食べナイト?」イベントを開催し、買い出しから調理を子どもたちと一緒に行い、若いボランティアを育てる目的も兼ねて行っていて、これまでに320回以上開催している。子どもたちの状況を知るために、ゲームセンター等でアンケートを通じて悩みや抱えている問題を把握し、施設の存在を周知している。古民家を改築した暖かい施設では、子どもたちがそれぞれの悩みを打ち明けたり、大人には話せない事を、子どもたち同士で話し合ったり相談したりする光景もみられる。
この度は、栄えある「社会貢献者表彰」を頂き、心から御礼申し上げます。長年の草の根の子ども支援活動を、このように温かく励まして下さり、スタッフも関係者も一同で大変嬉しく思っています。
西淀川子どもセンターは、保護司や子どもへの虐待防止「CAP」の活動をしていた前代表・西川日奈子が数人の仲間に呼びかけて、2007年に活動を立ち上げました。それまでも多くの青少年と関わるなか、小学生時代などの早い段階で子どもと出会うことの重要性、事件が起こったり困難に陥ったりする前に関わることの必要性を感じ、「子どもが気軽に自分のことを話せる場所を地域に作ろう」と、公園でパラソルを立てて呼びかけるところから始めました。2008年にNPO法人となり、市営住宅での事務所ができてからは、文庫とてらこや活動(学びなおし支援)をしながら子どもが自由に遊びに来られる居場所活動を実践し、同時に、地域の大人に向けての学習会やおしゃべりサロンなどをしながら、子どもが安心できる地域を作るための啓発活動を展開してきました。
ボランティアと一緒に遊んだりする中で、子どもが子どもを呼びたくさん来てくれるようになりましたが、夕方に会場を閉める時間になっても、帰りたがらない子どもたちがいて「家に帰っても誰もおらん」「今からゲーセン行こう」と誘いあわせたりする様子から、夜間の過ごし方がだんだん気になりました。それで、2013年から「いっしょにごはん!食べナイト?」(夜間サテライト事業)の準備や練習に取り組み、2014年に本格的にスタートしました。現在は週一回程度、区内の小学生〜高校生を対象に、夕食の買い出し、調理、配膳、後片付けまでを、若者ボランティアたちがサポートしながら一緒に行っています。宿題や遊びなども含み、楽しく過ごしています。現場には、それぞれの子どもが気軽に話せる若い世代や、様々なことを教えてくれる熟年世代などもいるので、家族や学校の先生とは違う多様な大人と出会う場にもなっています。今日あったことを話しながら、誰かとご飯を食べる。そんな場面も、子どもによっては「なくて当たり前」の生活だったりします。でも、そのちょっとホッとできる時間が、他人とつながる体験となり、心をはぐくむ一助になったりすればいいなと願いながら、ご飯を一緒に食べる時間を重ねています。
子どもの貧困問題への社会的な関心の高まり、全国各地での子ども食堂活動などを追い風に、どこの地域にも「子どもに直接届く子ども支援」があるような社会になっていきますよう、今回の受賞を励みに、今後も心と力を寄せ合って、足元の活動を継続していこうと思います。
代表理事 西川 奈央人