株式会社 サポートジャングルクラブ
1992年ブラジル・リオデジャネイロで開催された国連環境開発会議、通称「地球サミット」に参加した吉野 安基良(よしの・あきら)さんは会議場でアマゾン熱帯雨林先住民と出会い、先住民・インディオの伝統保護とその継承支援、また森林保護の必要性を認識し、約5年間に亘る現地滞在・視察を経て2001年、株式会社サポートジャングルクラブを創設。アマゾン熱帯雨林で先住民の暮らしと権利を守りながら持続可能な開発を実現する為には、自然環境と生態系に負荷を掛けない枠組みを有する「仕事」の創造と、次世代の教育を目的とした「学校教育支援」が不可欠であるとの認識のもと、フェアトレード事業を展開する。以降、22年間に亘り同社が提案する「コパイバ マリマリ..」をはじめとする、伐採を伴わず採取可能なインディオ伝統の植物を化粧品や食品として加工・販売する傍ら、採取活動に携わる地域住民およびインディオたちの経済的自立支援を行いつつ、現地地域社会における学校校舎建設支援や教育物資支援活動を積極的に行っている。尚、同社は現在二代目代表・吉野 朝(よしの・あさひ)さんに継承され、本年までに延べ3つの学校校舎設立を支援し、現在4校舎目の改築・建設に着手中。また、計100名を超す地域住民の経済活動参加支援を行い、現在も複数コミュニティにおいて継続中。
弊社は南米・アマゾンの森に暮らす人々と、縁あって志を共に四半世紀以上、2世代に亘って仕事を続けて参りました。この間私たちは、主に学校校舎建設・修繕・学習及び通学環境整備、また当社製品原材料の採集・加工に携わる方々への工具や備品の提供、原材料保管施設の建設、ならびに職業訓練の実施等を通じ、現地コミュニティやその周辺地域の住民が“森の中で、森や生態系に負荷を掛けずに経済的自立を達成する”ことを目標に活動を展開して参りました。このような活動は客観的に見たならば「支援」とも言えますが、私個人の主観で見たならばそれは「交流」でした。例えるならば、地元で毎年開かれる伝統的なお祭りや行事ごとの運営、または地域のゴミ拾いや清掃活動などにその地元で生まれ育った住民が自主的に参画するようなイメージでしょうか。私はアマゾンに生まれたわけではありませんが幼少期の5年間をアマゾンで過ごしたこともあり、現地の見知った仲間や友人と共に活動するなかで、対外的な広報や活動紹介等で「支援をしています」と申すことに少々抵抗があることも事実です。
さてこの度は、このような栄誉ある賞を頂戴し心より御礼申し上げます。上述のような背景から恐縮しつつも、これまで主であった“地元密着型”の活動の枠を飛び越え、更にその範囲を広げてゆかねばならないと自覚させていただく、素晴らしい機会を賜りました。本年は気持ちも新たに、これまで主であった活動エリアより数百キロ離れた別の地域コミュニティへその範囲を広げることが叶いました。嬉しいことに、これまでの経験が礎となり新天地での活動にも奥行きが生まれ、地域住民とのより密接な交流が始まっています。余談ですが、彼らには「支援を受けている」という自覚はないでしょう。私にも支援者としての自覚はありません。唯一、お互いに同じ課題や希望を共有する当事者であるという強烈な自覚のみがこの活動を日々、一歩ずつ前に進めています。
この度の受賞を大きな励みとし、これまで同様に当事者としての自覚を持ちながら、これまで以上にアマゾンの森と人々を日本に伝え育む活動に邁進して参ります。