社会貢献の功績
特定非営利活動法人 おかやま入居支援センター
2009年に設立されたNPO法人おかやま入居支援センターは、精神疾患の患者が自立し社会で暮らす為の基本となる住居の確保が難しいことから、司法・医療・介護福祉・不動産仲介事業者・金銭管理者等多くの関係者による支援ネットワークによるサポートを行って
いる。設立後は、高齢者・障がい者・刑事施設退去者・被虐待者も対象として、必要に応じて保証人となり、アパート入居の支援を行っている。
公営住宅の保証人問題について、同団体が岡山県にはたらきかけ、知事が認めた法人が公営受託の保証人になれるという条例改正や、住宅セーフティーネット法の改正に繋げるなどした。
また、2017年には、一般社団法人居住支援全国ネットワークが立ち上がり、同団体の理事長が代表理事に就任するなど、全国の弱者への居住支援がこの団体を軸に広がっている。
この度は、社会貢献者表彰をいただき誠にありがとうございます。懇談会、表彰式典、祝賀会では、全国でご活躍されている他の表彰団体と交流ができ、活動の内容は違えど、共に社会貢献をしていると実感いたしました。
当法人は、高齢者や障がいのある方の支援に携わっている専門家(弁護士・司法書士・社会福祉士・行政書士・宅地建物取引士・税理士・精神保健福祉士・医師等)が集まって、平成21年に設立しました。住宅の確保が困難な方の入居を支援するため、関係機関と協力してネットワークを形成し、必要に応じて入居時の保証人となるなどの方法により住居を確保し、誰もが安心して暮らせる街づくりの一翼を担うことを目的として活動しています。
設立のきっかけは、精神科病院の医師からの、「入院の必要がないのに退院できない方がいる。何かいい方法はないのだろうか。」という言葉でした。退院可能な病状なのに退院できない方、あるいは劣悪な住居から転居しようにも転居先のアパートがみつからず困っている方が多くおられました。
高齢者や障害のある方が退院や転居をする場合、いくつかの問題が存在することが分かりました。「何かあったら困る」「何となく不安で怖い」という貸主・地域住民の声があります。また、保証人になる人がいないという問題もありました。
そこで当法人では、入居の支援を希望する方には当法人の協力会員となっていただき、自分が受けている行政・医療・福祉などの支援機関に、当法人・財産管理者(成年後見制度・日常生活自立支援事業等)・仲介業者等を加えて支援しています。この方法により、「見守り」体制が整い、ご本人も貸主も安心していただくことで、アパートの入居を可能にしてきました。個人ごとに入居と生活を支援するネットワークを形成することにより、これまで延べ300名の方の支援をしてきました。
また、当法人では公営住宅の入居支援もおこなっています。当初は、法人は公営住宅の保証人になれませんでしたが、条例改正により、岡山県内の公営住宅では当法人が保証人になれるようになり、利用が増加しました。
平成26年からは、同様の取組みを行っている団体が連携して各地の取組状況を調査し意見交換を行ってきました。その結果、住宅確保要配慮者の入居支援と地域生活支援は全国共通の課題であり、それぞれの地域で様々な対応が行われていることがわかりました。
そこで平成29年2月、任意団体として「居住支援全国ネットワーク」を立ち上げ、同年11月には「一般社団法人居住支援全国ネットワーク」を設立登記しました。全国各地で居住支援を行っている団体が、居住支援の普及及び発展を目的とする活動を行うとともに、情報交換・交流・相互啓発・研究・調査・啓発活動等を行っています。
今回の表彰を機に気持ちを新たにして活動に取り組みたいと思います。誠にありがとうございました。
副理事長 岩田 弘明