社会貢献の功績
認定NPO法人 フローレンス
子どもの病気で欠勤したことが原因で勤務先を解雇された女性がいると聞いた駒崎弘樹さんが、「子育ては親だけがするものではなく、社会みんなで関わるべき」という理念の下、2003年から活動を開始したNPO法人。日本初の試みの、病気の子どもを保育スタッフが家庭を訪問してケアする「訪問型・病児保育サービス」事業を開始した。また待機児童問題には、「定員20人以上でなければ認可保育所を作れない」といった規程を逆手に取り小規模保育所「おうち保育園」をオープンさせた結果、この取り組みをモデルとして制度化された「小規模認可保育所」が国の認可事業となった。その他、障がい児保育問題、ひとり親家庭の貧困問題、孤(子)育て問題などを解決するための「モデル」を作って実践し、全国に波及させ、地域の力で子育てと仕事を両立できる社会づくりを目指し、共働きやひとり親の子育て家庭をサポートする取り組みを行っている。
このたびは、栄えある「社会貢献者表彰」をいただき心より御礼申し上げます。
私たちは「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」の実現を目指すNPO法人です。
テレビドラマ化された漫画「37.5℃の涙」のモデルにもなった日本初の訪問型病児保育事業からスタートしたフローレンスは、2004年に設立後、子育てや保育に関わる社会問題の解決モデルを次々に事業化する一方、全国規模で問題解決が推進されるよう行政への働きかけを行って参りました。
事業のきっかけは、いつもたった1人の悲痛な声を聞くことから始まっています。
「こどもの看病のために仕事を休んでいたら、会社をクビになりました」というお母さんの声。
「保育園に預けられず、育児休業から復帰できません。フローレンスを辞めなければならない」というスタッフの声。
「障害のある子どもを預かってくれる保育園が、どこにもありません」という保護者の声。
「生まれたばかりの赤ちゃんが自宅出産や遺棄で亡くなっている」という連日の報道にアクションを起こさずにいられなかったことがきっかけであった事業もありました。
現在、子どもが病気になった時に預け先がなく、子育てと仕事の両立を困難にする病児保育問題を解決するための「病児保育事業」、そして待機児童解消のため開園した「おうち保育園」が、小規模認可保育所のモデルとして国策化された「保育園運営事業」、日常的に医療的なケアを必要とする障害児を受け入れる保育園がないという障害児保育問題の解決を目指す「障害児保育事業」、赤ちゃんの虐待死ゼロを目標とし子どもの家庭養護を推進する「赤ちゃん縁組事業」など、数々の事業を展開しています。
本年2017年には、病児保育室・障害児保育園・認可保育園・小児科が一体となった日本初の保育複合施設「おやこ基地シブヤ」の開園や、経済的に厳しい環境にある子育て世帯にアウトリーチする「こども宅食」プロジェクトを立ち上げるなど、新しい挑戦を続けています。
「親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決する」というミッションを掲げ、制度から取り残されている課題に光を当て続けていくこと。こうした活動には事実、高い壁が幾重にも立ちはだかります。貴法人が、私たちの地道な活動を評価して下さり支援して下さったことは、各現場で日々奮闘しているスタッフの心を勇気づけ、新たな挑戦を続けていく原動力となりました。
一同より、感謝を申し上げます。
特定非営利活動法人フローレンス
代表理事 駒崎 弘樹