社会貢献の功績
聖明福祉協会・盲大学生奨学金事業
東京都青梅市で盲老人福祉施設「社会福祉法人聖明福祉協会」を運営する本間昭雄氏が昭和44年に盲大学生のために創設した日本で唯一の盲大学生のための育英資金制度。本間氏は自らが20歳で失明し、十分に勉強できなかったことで、同じ悩み、苦しみをもった人たちが大学へ通い、将来活躍できる人に育ってほしいと制度を設けた。これまでに207名の盲学生に奨学金を貸与してきた。今年で48年目を迎える。
感謝の思いを込めて
本法人は昭和30年1月に視覚障害者の福祉を目的として、創設いたしました。
当初は在宅支援を中心に点字指導や社会復帰の相談事業が中心でした。昭和39年に高齢化の未来を見据え、盲老人のための入所施設を設置し、現在は3つの施設に280人の高齢視覚障害者及び認知症など重度の方々のための施設を経営しております。
昭和44年に創立15年を記念して、若い視覚障害者に「夢と希望の灯をともす」として、わが国唯一の「盲大学生奨学金貸与制度」を創設しました。毎年5名前後の盲大学生を奨学生として採用し、平成28年度までに207名の盲大学生に奨学金を貸与して参りました。
この事業には、公的な助成金は全くありません。当初から朝日新聞厚生文化事業団をはじめ、ご理解ある団体、個人や遺言による尊いご寄付によってまかなわれております。
盲大学生は、勉学のために晴眼の学生に比べ、機器の購入や点字図書の購入などより多くの経済的負担があります。
奨学金を受けた内の約200名の人々は、すでに社会の第一線で活躍しております。
全盲の弁護士が誕生しました。彼は司法試験に挑戦して9年目に合格したのです。その他、大学の教授等12名を数え、このうち半数は博士課程を修了しております。しかも、盲聾という二重障害の重度でありながら現在東京大学の教授として活躍している人もおります。さらに、内閣府に設けられた我が国の障害者施策を検討する委員会の委員として活躍している人、その他公務員、一般企業、教育、福祉など幅広い分野で活躍しております。
しかし、大学を卒業しても就職は厳しいものがあります。同時に返済出来ない人々もいることは心の痛むことです。
この事業が誕生して48年間続いておりますが、これが評価され、貴財団の社会貢献者として表彰を受けることが出来ましたことは大変嬉しいことであります。と同時に、人づくりにいささかなりとも貢献することが出来たのかと誇らしく思うものであります。この表彰を受けて、盲大学生のための奨学金事業が広く知られることを期待しているものであります。
理事長 本間 昭雄