社会貢献の功績
NPO法人福岡すまいの会
福岡市内のホームレスに対し炊き出しでの相談支援等を2002年からスタート。彼らと話をする中で、受給できるはずの年金が受け取れない人、年齢や障害等で生活保護を受ける必要がある人、皆住所が無いゆえ受給できないと判明した。そこで、今の生活を抜け出す為には、「ハウジングファースト(まずは住まいから)」と理念をかかげ、無償の保証人活動や、民間不動産を利用した入居支援などの住居支援を柱に、活動を開始した。当初は個人的な立場で入居者の保証人になると、問題が次々と発生したことから、2003年に団体を法人化してリスクを回避するため団体で部屋を借り上げている。家賃は利用者から団体が徴収する仕組みで、高齢者が多いことから、月に1度の集会と彼らを見守る管理人を常駐させ、近隣ではお互い見守りを行っている。この他に就労支援活動も行っており、福岡市の委託事業として就労自立支援センターを運営し、昨年は108名が利用した。また、電話・対面による相談にも応じる活動や、「喫茶昭和じかん」という、昭和の内装・価格を再現した月1回のイベント喫茶店で二人分を注文して一人分を誰かのために保留しておくこともできる保留システムを取り入れて、誰でもご飯が食べられる場所を目指して活動している。
この度は、社会貢献者表彰という大変栄誉ある賞を頂き、職員一同、感謝の気持ちと共に今後の活動の励みとなりました。
盛大な授賞式に列席させて頂き、当会の活動内容からすれば別世界のような気持ちでした。安倍会長、さらには日本財団の笹川会長のお話をお聞きする中で、特に印象に残った言葉に「草の根」という言葉がありました。全国で活動されている団体の方々と共に、草の根の活動で、より良い社会にする為に頑張って欲しい、小さな力が大きな力になるという言葉に、希望を感じ深く感銘致しました。これからも、私たちに出来ることを積み重ねて行きたいと思います。
私ども「福岡すまいの会」は2002年に有志市民により「ハウジングファースト」の理念のもとホームレス状態にある方々に「すまい」を提供し、部屋で生活することに加えて「住所」を得ることで、年金受給や生活保護などの各種申請が出来るようにお手伝いするために発足致しました。改築前の博多駅には、夜になると段ボールや新聞紙を寝床に大勢の方が寝泊まりし、失業、疾病、障がい、DV、借金、依存症など、当事者それぞれ様々な事情を抱えながら、ホームレス状態に至っていました。そのような状況を見て、路上生活から何とか抜け出せるように手助けしたいという思いから始めた活動が住居支援でした。
最初に、アパート入居時の連帯保証人を無償で受ける活動を有志で開始し、福岡市内や近郊地区での居住支援を行ってきました。一端住居を提供しただけでは生活の維持が難しいケースも多く、再路上化を避けるために、会全員で試行錯誤しながら、様々な取り組みを進めていきました。例えば、管理人による見守りや、月1回のサロンや集会、年1回の日帰り旅行等を行い、孤立化を防ぐようにしました。
また、当初から住居の保証人だけでは無く、就職活動に必要な一時的な住所の提供や面接日の取次連絡などの就労支援を行っており、その活動が認められ福岡市との協働事業や委託事業の受託へと発展していきました。この就労支援を通じて、延べ1,000人近い老若男女お一人お一人の課題解決のお手伝いから、就労に至るまでのサポートをし、今日に至っております。
私たちが活動の中で学んだことは、結局人に寄り添えるのは仕組みや制度ではなく「人」そのものだということです。当会は、今日、時代は変化しようとも、変わらず、人に寄り添い、出会った方々の杖となって、そっと支えながら、これからも精一杯、活動してまいります。
全国の素晴らしい方々との出会いを嬉しく思いながら、当会のこれからの活動に生かして行きたいと思います。本当にありがとうございました。
理事長 横溝 高廣