社会貢献の功績
大牟田 一美
屋久島うみがめ館 代表
鹿児島県屋久島の永田浜は北太平洋最大のアカウミガメの産卵地で、絶滅危惧種のアカウミガメ保護を介して砂浜を守ろうと昭和60年に「屋久島ウミガメ研究会」を発足し、同島でウミガメの生態調査・研究及び環境保全・啓発活動などを行っている。ウミガメの上陸シーズン中の上陸回数や産卵回数、子ガメのふ化状況などの生態調査、県内外に向けての情報発信を続けている。全国から集まるボランティアと協力して、見学者に対し、ウミガメについての啓発や、浜の清掃や松などの植樹を行い、ウミガメとウミガメが上陸する環境の保全を広く啓発するために「うみがめ館」の運営を行っている。
1985年、屋久島で最も美しい砂浜を守ろうとウミガメを主役にして「屋久島ウミガメ研究会」を地元の若者達と立ち上げました。当時、海浜の砂の採取などにより浜砂は子供の頃よりも半分以下に減り、なお海砂の採取が続いていました。
5年間、ウミガメの生態調査・保護を行うと始めた活動が、2年目で殆んど会員がいなくなり、3年目からは一人で浜を歩くことが多くなってきました。それもそのはず、5月から7月の間一晩中起きてウミガメの生態調査と盗掘や大波などで流される卵の保護を行うには、体力と気力に加え睡眠不足との戦いでした。
屋久島に来る若者を捕まえては長期の活動を手伝って頂き32年間も続いてきました。砂浜の採取は、活動を始めた次の年には行われず、3年目に鹿児島県は浜を守ってくれることを約束し、砂の採取は中止になり、痩せた浜の補給のために川砂を浜に養浜をしてもらうようになりました。
1998年、鹿児島県は日本で初めての「ウミガメ保護条例」を施行し、ウミガメの保護に努めました。また、2002年に永田の浜が国立公園、2005年にラムサール条約湿地登録、2006年に国立公園法によってウミガメが保護指定動物に、2016年にはエコパークに登録されて、ウミガメは形式上保護されるようになりましたが、観光地化が進んでいます。
1993年、屋久島が世界の自然遺産に登録されてからウミガメの見学者は4倍以上に増え、ウミガメの生態に悪影響を及ぼすようになりました。その結果、7月で終了していた親ガメ調査から子ガメが海に帰っていなくなる9月まで行うようになり、更に長期線の活動となりました。
1999年、自力でウミガメの展示館を作り、活動は世界的にも評価され、アメリカの国からも10年間支援を受けました。
32年間の活動に参加したボランティアは小学3年生から74歳まで1,000名を超え、その成果はウミガメを最も少ない時の9倍程に増し、多くの人が見学に来るようになり、経済効果も出てきました。
私はウミガメにすまないと思っています。ウミガメを増やすことがなかったら多くの人が来ることもなく、静かな環境で産卵できたかもしれません。しかし、浜を守ってくれたウミガメには大変感謝しています。
山男だった私が好きでもないウミガメと関わり、私の人生はウミガメに狂わされたと言っても過言ではなく、「男の意地」でやり通してきました。
賞を頂く度に深みにはまっていく私、社会貢献支援財団様からの賞を頂くのにも抵抗がありましたが、表彰式に出席して多くの方々が長年に渡り頑張っていることを知り得ただけでも大きな収穫でした。感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。