社会貢献の功績
特定非営利活動法人 SOS子どもの村JAPAN
福岡市で行政とNPOが協働で里親普及を推進する取り組みが始まり、2006年に「NPO法人子どもの村福岡を設立する会」が設立され、2010年に同市西区今津に日本初の「子どもの村福岡」が開村された。子どもの村では里親が、家族と暮らすことができない子どもたちと一つの家に共に暮らして家庭を築いて村をつくり、「家庭環境」「専門的なサポート」「実親との連携」を柱に、地域とともに子どもたちを育てる。2014年6月に「NPO法人SOS子どもの村JAPAN」に名称変更し、活動している。
※「SOS子どもの村」は、1949年第二次世界大戦後のオーストリアではじまり、現在世界134の国と地域で活動している国際NGO。SOS子どもの村JAPANは正式に日本で唯一の加盟団体として承認され、加盟証が授与された。正式加盟団体としてのスタート地点に立った。
里親と子どもを支え続ける
「SOS子どもの村JAPAN」は、2005年に福岡市で始まった福岡市児童相談所と「子どもNPOセンター福岡」の協働の里親普及活動「新しい絆プロジェクト」から生まれました。活動のなかで、私たちは、里親で育つことを子どもの権利として定めている「国連子どもの権利条約」や多くの子どもが里親で育つ諸外国から、日本は、大きく立ち遅れているということを知ったのです。プロジェクトは、大きな成果を上げ、福岡市の里親委託率は、全国一伸びました。同時に、私たちは、子どもたちに、愛と希望を取り戻し、自立していく力を与えて下さっている里親さんの物語を知り、家族と離れて暮らす子どもたちのために、「里親養育の推進」と「支える仕組みづくり」を両輪として取り組むことが急務であると確信しました。この里親普及活動から、「すべての子どもに愛ある家庭を」をスローガンに世界135カ国で展開している国際NGO「SOS子どもの村インターナショナルを日本に」という活動が生まれ、2010年、福岡市西区に子どもの村が開村したのです。
現在、5軒の里親家庭で「専門家の支援」の下、「実家族と連携」しながら「地域とともに」子ども達を育てています。また、地域で困難を抱えるご家族のために、子どもの「一時預かり」、時間内に児童相談所などに相談に行けない家族への「休日夜間相談事業」、また、市内の里親支援などを行っています。
「国際プログラムの導入なんて、夢のよう」、「無謀だ」などと言われる中でも、「子どもは、みんな社会の子」として、実現に向けて、多くの財政支援をして下さった県下の企業や小児科医のみなさま、福岡市行政や地域の方々…。表彰をいただきながら、おひとり、お一人の顔、一つ一つのエピソードが思い出され、感謝で胸がいっぱいになりました。建設地「西区今津」は、豊かな自然に加えて、新春の「11日祭り」、春祭り、夏祭り、「人形浄瑠璃」など伝統行事が、大事に保存され、どれも子どもたちが主役です。親と離れた悲しみ、心の傷をみんなで癒してくださっていることにも心から感謝したいと思います。
さまざまな家庭の状況を背景に、一時保護される子ども、親と離れて暮す子ども
が増えています。福岡の地から、一人でも多くの子どもが家族と暮らせるよう活動を広げていきたいと思います。
歴史ある今回の「社会貢献者表彰」を心から感謝いたします。
常務理事 坂本 雅子