認定NPO法人 オリーブの家
岡山県を中心に心理カウンセラーとして20年以上相談を受けてきた山本康世さんは、相談者の多くが困窮する母子であり、自治体の相談窓口や既存のシェルターは条件や規制で利用しにくいことが多いことに問題を感じていた。2017年に仲間と共にNPO法人を設立し、DV・虐待・貧困のひとり親家庭の保護活動を開始。相談窓口を最重要と位置づけ、365日2名の相談員が交代しながらリモートで対応する。そこで保護の判断や山本さんをはじめとする心理カウンセラーへ繋げるなどの必要なケアを行いながら母子の生活の再建を目指す。現在、県内に物件を所有または借り、県外にも支援者が確保してくれているシェルターがある。食料支援や必要に応じて学習支援なども行う。2021年に居住支援法人格を取得し、地域の不動産屋と協力し自立する際に保証人がいなくても借りられる物件を探せるようアフターフォローの体制を調えた。また、保護した人の中にはヤングケアラーも多くおり、子どもたちのSOSをキャッチできるようLINE等でお兄さんお姉さんに気軽に相談してもらえるよう備えている。
この度は、大変華やかな授賞式において、私たちオリーブの家の日々の地道な活動を労っていただきましたことを感謝いたします。昨年9月にメールをいただき10月には岡山県津山市の私たちの小さな事務所にまで来てくださいましたことを思い出します。
ある時、心理カウンセラーをしている私の元に一通のメール。パートナーから外出を制限され言動の自由も奪われ軟禁状態の20代の女性から最後の勇気を振り絞った「助けてください」の言葉が届いた。ほとんどのDV被害者は頼れる親族等がいない。助けて!と声に出したいけれど報復が怖くて黙ってしまう。子どもがいるから簡単に逃げられない、お金がないから、借金があるからなど多くの苦しみを抱える彼女たち。カウンセリングやセラピーだけでは助けられない!と思い2011年の東日本大震災の時の被災者に自宅を開放してシェルターとして利用していただいたことをきっかけに、その後お困りの女性と親子のシェルターとして継続支援してきました。手伝ってくれていた友人たちと2017年にNPO法人化。理事全員が仕事を持ちながらのボランティア!街角で募金活動やフリーマーケットで得た資金からスタートし、初のクラファンに成功し資金も自力で仲間と集めて徐々に民間助成金などの申請をして事業を行ってきました。活動を理解してもらうためにブログを書いて発信し、みんなで勉強しながらホームページも自分たちの手で作り上げました。何より利用する方々の悩みを丁寧にヒアリング、相談・見立て・心のカウンセリング、心理教育・保護・同行支援・関連団体との連携による支援・同伴児童の学習支援・自立に向けた準備・居住支援・再被害防止プログラム・アフターフォロー・母子家庭へのアウトリーチ支援と最後まで寄り添っています。スタッフはそれぞれの得意分野を分業し、法人存続のための若い後継者も育ててきました。「誰一人虐げられることのない世界を目指して」大変な活動ですが、だからこそお互い笑顔を絶やさず思いやりをもって常に利用者を軸にした支援を考えています。被害者、加害者という視点ではなく、機能不全に陥っている家族のために、自力で頑張ってもどうにもならなくて助けてほしい人の力になりたい。オリーブの家はこれからも小さな助けての声を聴きます。昨日より今日は明るい、明日はもっと良い日になると希望をもって生きてもらえるような支援を続けてまいります。