社会貢献の功績
岩田 雅裕
口腔外科専門医で、日本国内でフリーランスの医師をしながら、年に8回、1回に1週間から10日ほどカンボジアに滞在し、ボランティアで手術や診察を行なっている。大学病院や総合病院の外科部長職に就いていたが、平成13年にカンボジアを旅行し立ち寄ったNPOが運営する小児病院に数か月後再訪した際、執刀を頼まれたことが活動のきっかけ。専門医の少ない同国で、同国の医師の育成にも力を入れ、講義や医療実習も行っている。活動範囲をスリランカ、ラオスやミャンマーまで拡大しています。
私は顎顔面口腔外科専門医で、日本国内でフリーランスの医師をしながら、年に8回、一回に1週間から10日ほどカンボジアに滞在し、無償で手術や診察を行なっています。大学病院や総合病院の外科部長職に就いていましたが、2000年に知人の紹介でカンボジア・シェムリアップにあるNPOが運営する小児病院を訪問、口唇裂、口蓋裂児の執刀を頼まれたことが活動のきっかけでした。貧しいために病院にもかかることが出来ない子供たちをみて心動かされ、継続的に医療支援を行いすでに16年目、カンボジアへの渡航はすでに90回を超えました。
手術内容は、口唇裂、口蓋裂のみならず、腫瘍、骨折など顔や頸部のすべての疾患を扱うようになってきました。現在では同国のシェムリアップの他の病院やプノンペンのいくつかの病院からの依頼に応え活動の範囲を拡大。他に中国、スリランカ、フィリピンなどでも手術援助を行うようになり、海外での手術は3,000件以上、中でもカンボジアでは1,600件近くになります。
活動依頼範囲が広くなったことで、期待に応えるためにはとの思いから、日本での病院部長職という安定を捨て、2013年フリーランスという道を選びました。まだまだフリーランス顎顔面口腔外科医として挑戦途中です。活動の中心となるカンボジアは、まだ発展途中の貧しい国です。
医療制度、医療教育が内戦により崩壊した影響は今も大きく残っています。同国の患者数は非常に多く、いつも多くの患者さんが私の訪問を待っています。私の滞在期間中では手術ができないことも多く、顔面、頸部を扱う専門医がほとんどいない同国で、同国の医師の育成にも力を入れ、プノンペンの3つの大学で、講義や手術実習も行っています。やっと、口腔外科専門医を志すカンボジア人が現れ、医療技術移転の糸口が見えてきたところですが、まだまだ難しい手術は私頼みというのが実際です。
現在では、活動範囲をラオスやミャンマーにも広げ、今後、ブータンでも開始する予定です。今後も、貧しくてもどの人も手術が受けられるようになることを目指し、分け隔てなく手術支援を行っていくことを考えています。
社会貢献支援財団におかれましては、地道に行ってきた私の活動を取り上げていただき、光を当てていただき、本当にありがとうございました。この受賞は、今後の活動の励みになるとともに、私の周囲の人たちに私の活動の本当の姿を知ってもらうよい機会にもなりました。積極的に応援をして下さる方々も現れました。そして陰ながら応援して下さる知人や友人、今は亡き両親、そしてよき理解者で、活動を共にする妻への、感謝の気持ちを持ち続けながらこの活動を頑張っていきたいと思います。
岩田 雅裕