海への貢献の功績
母なる海を守る会
山口県長門市で他法人や県外のNPOと連携し、日本海全域の漂着ゴミ問題を考える活動を平成20年以降行なっている。「ビーチクリーン大作戦」と銘打った漂着ごみの回収活動の実施や、産廃処理の見学や取材、地域の高校と連携し、藻場の再生活動も行っている。平成24年度、25年度に日韓海峡海岸漂着ゴミ一斉清掃を県や同市と共同で開催し、地元企業と協働したボランティアをもてなす企画やダイビングスクールと連携した海底のごみの収集なども実施している。
今回、はからずも「社会貢献者表彰」をいただきましたこと、感激にたえません。私どもが、このような喜びを得ることができましたのは、ひとえにボランティアとして参加いただいている皆様や、山口県をはじめとした行政のご指導のおかげです。本当に心から感謝を申し上げます。
せっかくの機会をいただきましたので、私たち「母なる海を守る会」の活動をご紹介します。
私たちの長門市油谷大浦地区では、平成20年から、ビーチクリーン大作戦と銘打って、大規模な海岸清掃活動を行っています。この活動の母体となっているのが、私たち「母なる海を守る会」です。
活動の当日は、地区の住民だけでなく遠くは、鹿児島から北海道にお住まいのボランティアの方も併せて、800人の方においでいただき、漂着ごみだらけだった海岸が、たった1時間あまりで、みるみるキレイになりました。
さて、本会の発足は、平成20年7月にさかのぼりますが、これには地区内にアイ・ターンされてきた若者が、仲間の方と行われていた海岸清掃活動が下地にありました。彼らは、自主的に月に一度、10人ほどの仲間と海岸清掃活動を行われていましたが、漂着ごみの多さの前では、焼け石に水で、海岸をきれいにするまでには至らないとの悩みをもっていたところです。その状況を聞き、地区全体として、活動に取り組めないかと考えました。そうして、その若者を事務局として、地区内の若い有志によって、「母なる海を守る会」が立ち上がったところです。
それでは、この会の取り組みの内容ですが、山口県北浦海岸を美しく、自然豊かな海にするため、国定公園の海岸美を保全し、大切な自然を次世代に継承することを目的に、年1回の、海岸に漂着したごみの回収としての「ビーチクリーン大作戦」の開催のほか、森林の涵養が海の保全に繋がるという思いからの「千年の森プロジェクト」と銘打った森林保護活動などを行っているところです。
「ビーチクリーン大作戦」については、この活動を行うにあたり、地区の高齢化率は50%を超え、地域住民だけでの海岸清掃活動実施は困難でした。そこで、会を構成するアイ・ターン者などの発案により、インターネットなどを活用した幅広い呼掛けによるイベントの展開が企画されました。
まずは、全国的に漂着ごみの清掃活動とその研究を行っている一般社団法人JEANと連携し、活動を行う手法を学んだうえ、マスコミ等も利用し、第1回目のビーチクリーン大作戦を実施しました。この活動に関する報道が新しい参加者を集め、更にはSNS活用などによる広がりで、市内はもとより県内外から800人のボランティアの皆さんを集めるまでになっています。
参加した皆さんが収集したごみを手渡しで収集箇所まで運ぶ様子は、何度見ても感動的です。平成24年度の第5回からは、山口県が行う日韓海峡海岸漂着ごみ一斉清掃とあわせ実施され、県内大学の海外留学生も多数参加いただいています。また、参加者全員で行われる抽選会の景品など経費の一部や物品提供を、地元をはじめとする企業の協賛で賄うことや、行政との連携によりごみ収集のための資材準備や回収ごみの処理を行うなど、産学公との市民協働による活動展開を図っています。本年度は、一般社団法人JEAN作成の環境保全啓発パネル展示も実施しました。
こうした、意識啓発の活動については、海岸漂着ごみの中でも目立っている投棄魚網や漁具について、自ら見直そうと考えた産業廃棄物の処理現場の見学や、市内市民協働シンポジウムなどでの取り組みの報告など、広範囲におこなっています。
また、資源豊かな海の再生のため、県漁協と連携した、ヒラメ稚魚の放流や、千年の森プロジェクトとして山林の涵養能力を再生するための、クヌギの林の手入れや、かぶと虫の里づくりに取り組んでいます。6年に渡る活動の継続と取り組みの拡大により、現在は長門市における海岸清掃の大イベントとなり、市民協働による海岸漂着ごみの回収活動として、他の地区にとって先駆的事例となっているものと自負しております。また、その活動は、単に環境保全のみならず、地域資源の県内外への紹介や、魅力ある地域づくりに繋がっているものと考えています。今後は、広葉樹の植樹などの森林保護活動や藻場の再生、海産資源の養育活動の取組の幅を広げ、併せて、地域において引継がれている海女文化の継承活動も行っていきたいと考えます。
以上、私たちの取り組みについて、報告させていただきました。
今後もご支援のほど、よろしくお願いいたします。