社会貢献の功績
一般社団法人 ホワイトハンズ
平成20年に新潟市で発足された法人で、自力で射精行為が出来ない身体障がい者のための射精介助サービスを提供している。他にも精神障害や知的障がい者を抱える家族や団体や自治体の担当者に向けて、性の問題に対応するガイドラインを作成し、研修や講演会も開催し好評を得ている。創設者の坂爪真吾さんは東京大学に在学中、社会学のジェンダーとセクシュアリティのゼミで性風俗に関する調査研究に携っており、「社会性のある性サービスを作ろう」と設立した。現在、全国年間約100人前後の利用者がいる。
この度は、社会貢献者表彰を授与して頂き、大変光栄に思っております。ホワイトハンズは、平成20年より6年間、脳性まひや神経難病、筋ジストロフィー等の男性重度身体障害者の方に対する射精介助を全国各地で提供して参りました。
これと合わせて、知的発達障害児者の家族のための性的支援のガイドライン発行や、障害者への性教育を目的としたバリアフリーのヌードデッサン会の開催、障害者のセクシュアリティに関わる専門職や研究者、当事者やアーティストを招いて議論を行う「生と性のバリアフリーフォーラム」の開催など、全国各地で「障害者の性」問題に対する理解を深めるための様々なイベント・研修・講演活動を行っております。
障害の有無に関わらず、人間にとって、性は生きていく上で必要な基本的な欲求であり、当たり前の生活行為です。しかし、障害者の性は、「そもそも存在しないもの」「あってはならないもの」として、福祉の現場においてタブー視され、黙殺されてきました。そういった陽の当たらない「福祉の闇」の領域に取り組む活動に対して、今回社会貢献者表彰を授与して頂いたという事実は、私共の法人だけでなく、全国の障害者と支援者に大きな勇気と希望を与えるものとなると確信しております。
今年は、障害者権利条約が批准された年でもあります。この条約の中でも、「障害者が生殖及び家族計画について年齢に適した情報及び教育を享受する権利を認められること」「さらに、障害者がこれらの権利を行使することを可能とするために必要な手段を提供されること」という条文によって、障害者の性・生殖に対する社会的支援の必要性が言及されています。
障害者の性に対する理解と支援の必要性を明記した条約が批准された年に、社会貢献者表彰を授与して頂いたということを励みにして、今後も引き続き、全ての人が、障害の有無に関わらず、生涯を通して、性に関する最低限度の健康と権利を享受することのできる社会を実現するために、鋭意努力していきたいと考えております。ありがとうございました。