受賞者紹介

平成25年度 社会貢献者表彰

社会貢献の功績

なかた けんこ

中田 ケンコ

(滋賀県)
中田 ケンコ

ブラジル出身で1992年に来日した際、日本企業へ出稼ぎに来たブラジル人労働者の子どもの置かれた境遇に衝撃を受け、一度は帰国するが単身1998年に再来日して、滋賀県の愛荘町に「ブラジル人学校コレジオサンタナ学園」を設立した。0歳から16歳までが通う一環教育を行い、順調に運営を続けていたが、2007年のリーマンショック以降事態が一変し、学校の存続は危ぶまれた。子どもの居場所を失くすまいと、教師の給料を半減したり、支援を呼びかけたり、古紙やダンボールを集め売り、給食の野菜は畑で生徒と育てる等して運営を続け、授業料を払えない子どもも受け入れている。2010年には特定非営利活動法人として認定された。

推薦者:愛荘町 町長 村西 俊雄
(休み時間)サンタナ学園
(休み時間)サンタナ学園

この度は素晴らしい賞を頂きありがとうございます。また、受賞にあたり多くの素晴らしい受賞者の皆さんに出会えたことをとても幸せに感じています。

今回の受賞は、推薦者である滋賀県愛荘町の村西町長のお蔭でもあります。村西町長は私たちのことをいつも気にかけて下さり、外国人コミュニティの大きな支えとなっています。愛荘町では昨年の8月から福祉医療助成制度の対象が広がり、12歳までの子どもたちが無料で医療を受けられるようになり、大変助かっています。良き理解者である村西町長の任期が3月までということで、とても寂しく、残念に思っています。

また、受賞式に参加するため、東京に行き、豪華なホテルにも宿泊できました。ホテルの窓から皇居を見渡したときには日頃の疲れも忘れ、優雅な気分になり夢も大きく膨らみました。

(授業風景)絵本の中の人物に仮装する子どもたち
(授業風景)絵本の中の人物に
仮装する子どもたち

私の夢は、サンタナ学園が各種学校に認定され、すべての子どもたちの教育を受ける権利が保証されることです。そのような環境で子どもたちが成長すれば、日本、ブラジルの両方の社会で必要とされる人になれます。また、各種学校になれば、子どもたちの授業料も安くなり、より多くの子どもたちが教育を受けることができ、バイリンガルになることも可能です。子どもたちにとって母国語を学ぶことは何より重要なのです。

多くのことを実現されている受賞者の方と比較すれば、私の功績は小さなものですが、一人のブラジル人女性として権利や福祉、特に子どもの権利のために戦い、母国を代表することができたことを誇りに思います。

このような表彰の機会を設けていただいた財団の皆様、村西町長、そして神様に感謝します。だだ、唯一残念なことは、70人の子どもたちと他の先生方が授賞式に参加できなかったことです。授賞式の間、私がどんなに幸せで、そして私にとって子どもたちがどれだけ大切な存在であるかを伝えたかったのです。子どもたちがいなければ、今回の受賞も賞金もなかったでしょう。賞金で送迎用のマイクロバスの修理代を支払うことができました。ブラジルの子どもたちが勉強できるようにと、いつも私を励ましてくださる神様に感謝します。

 

(授業風景)日本語教室
(授業風景)日本語教室

この機会に皆様にお願いしたいことがあります。それは各種学校になる夢が実現できるよう、力を貸していただきたいのです。現在、サンタナ学園には、他の学校で対応が困難であった自閉症の子ども6人、日本の中学校に馴染めず問題を抱えている生徒7人が転校してきました。ガソリン、食料等、経費の全てをクレジットカードでなんとか支払いをしている状況で、転校してきた生徒や特別児童のための教師を雇用する余裕がないのが現状です。また、授業料が払えず、空きを待っている中学生もいます。学校という居場所を与えてあげなければ、子どもは非行に走ります。居場所のない子どもの中には、逮捕された子もおり、自分が助けられなかったことを後悔するばかりです。居場所を与え、勉強する機会を与えてやれば、子どもはのちに日本社会でもブラジル社会でも必要とされる人材になります。

皆様には偉大な力があると思います。私たちのことを忘れないでください。ブラジル人だけでなく、ペルー、フィリピン、日本で暮らす多くの国の子どもたちが助けを必要としています。皆様の理解や支えがなければ私たちが活動を続けていくことも難しくなります。

私たちもブラジル人や外国人の子どもたちが将来、社会や世界に貢献し、相手のことを考えて行動できる人になれるように願い、今後も努力を続けていきます。

 

残念ながら日本語の読み書きができないので、日本語で感謝の言葉を綴ることができませんが、今回の受賞の喜びは言葉で表現するのが難しいほど、大きな喜びでした。受賞式では、大きなスクリーンに自動車教習学校を経営する方や、海亀や自然を保護される方の活動が映し出され、社会や人のために尽力されている皆さんの活動に学ばせていただきました。ブラジルには、「長生きすれば、学ぶことは多い」ということわざがあるのですが、この体験はまさにそのことであると思いました。

夫の立会いのもとで表彰していただき、同行してくださった役場の方にも感謝しております。休養と喜びの2日間でした。本当にありがとうございました。皆様に神様の祝福がいつまでもありますように。

  • 夏祭りではサンバを披露
    夏祭りではサンバを披露
  • 支援物資を運ぶ校長
    支援物資を運ぶ校長
  • 授業風景
    授業風景
  • 地元保育園との交流会
    地元保育園との交流会
  • 長野西子ども会とサンタナ学園の綱引き対決
    長野西子ども会とサンタナ学園の綱引き対決
  • 長野西子ども会とのクリスマス会
    長野西子ども会とのクリスマス会
受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」