東日本大震災における貢献者表彰
災害子ども支援ネットワークみやぎ
宮城県内で子育て支援活動等を実践している団体・個人が参加し、震災後4月6日に結成したネットワークで、約100の団体と個人が賛同者として登録し、子どもの心のケア、物資支援(生活物資や学校備品など)、学習支援(学校へ学習支援ボランティアの派遣)、イベント支援(人形劇公演の実施など)、支援者対象の講座開催、就労支援(託児室の開設やひとり親支援など)幅広いニーズに対応した活動に取り組んでいる。
宮城県知事 村井 嘉浩
これまでに、新潟沖地震・宮城沖地震など大きな地震を体験している私でしたが、今回の地震の揺れにはただならぬものを感じました。ライフラインがとだえる中、闇の中のラジオから聞こえてくるのは想像を絶する状況でした。
震災から2週間後に、初めて津波被害のあった地域の避難所に入りましたが、そこで目にしたのは、恐怖から母親と離れられなくなった小学生、異様にテンションの高い子どもたち、暴力的な態度をとる子どもたちの姿でした。まずはこの子どもたちに遊びの環境をつくって、少しでも穏やかな時間を過ごさせてあげたいと、活動を始めました。
私の日ごろの活動は、いじめや虐待などで悩む子どもからの電話を受ける「チャイルドライン」だったこともあり、全国の仲間から、支援の申し出が相次ぎ、物資も次々と届くようになりました。この支援を迅速に、有効に届けたいと考え、80人余りの賛同を得て、4月6日に「災害子ども支援ネットワークみやぎ」が設立しました。
物資支援では宮城県の災害対策本部とも連携し、県内の保育所、幼稚園、学校、避難所、仮設住宅などに届け、その数はトラックで70台分程になりました。
子どもたちへの支援として、県内小中学校全校へ「チャイルドライン」のカードを配布し、子どもの心の声を聴く体制を強化するほか、被災で中止になった学校公演を復活させるプロジェクトの実施や、イベント実施、人形劇公演、学習支援等、連日活動を続けてきました。
仮設住宅の整備に伴い、生活は落ち着いたかに見えますが、子どもたちの状況は依然として厳しく、宮城県だけでも126人が両親を無くし、741人が片親を無くしています。また、津波などで校舎がなくなり、仮設校舎を使用している学校が20校、他校に間借りしている学校が、32校となっています。県内には220,425戸400団地の仮設住宅が建ちましたが、その中に暮らす子どもの数は依然として正確には把握されていません。狭い仮設住宅の中では、十分な遊び場や勉強の場が確保されていないという声も聞こえています。
今回の受賞は、このような子どもたちのために、更に力を尽すようにという励ましと受け止め、今後も長く活動していきたいと思います。また、このような活動の成果は、一緒に活動して下さった多くの団体や個人の協力なくしてはあり得ないものでした。心から感謝を申し上げ、共に喜びあいたいと思います。社会貢献支援財団様、ご推薦いただいた関係者の皆様、ありがとうございました。