東日本大震災における貢献者表彰
株式会社 八木澤商店
陸前高田市で200年の歴史ある醤油、味噌の醸造、販売店を営んでいたが、本社、工場、自宅のすべてが震災による津波で流出した。避難の際、従業員が付近の老女を担いで人命救助に努めた。また、避難後は避難場所となった高田自動車学校と協力し、支援物資センターを立ち上げ、支援の手が差し伸べられない地域を中心に支援物資の配送を始めた。(醤油や味噌の配達サービスで町の地図を把握しており、避難所に入ることのできないお年寄りの所在を正確につかんでいたので)。さらに陸前高田市を地域全体で復興するため、地元企業と連携した産業再生の取り組みを行っている。
東日本大震災で会社が全壊・流失し、社員も半数以上が同じように家を失い、大切な人をたくさん失いました。
「一人も解雇せず、このまま再建に向けて歩きだす」といった九代目の言葉を、当時はマスコミがこぞって取り上げ、被災地の希望の光のように映し出されていました。
社員は正直、不安だったことでしょう。何もなくなったうえに、いままでやっていた仕事がない。でも雇用は守ると決めた。私たちは何をしよう。
震災から約1ヶ月、全国から届くたくさんの物資を避難場所に、買い物が困難な人たちに届けることを仕事とし、ひたすら各地をまわりました。
互いに本音を語る心の余裕も時間もなかったけれど、あの時の私たちは混沌とした中、天を仰いで助けを待つことより、とにかく動き出すことを選びました。
大切な人の安否がわからない中で黙々と続けた支援物資を届ける仕事。
物資を届けているとき「あなたたちも大変なのに、どうしてそこまでするの?」と問いかけられたこともありました。
状況や心が苦しいのは、みんな同じだから。生業とした仕事でなくてもこれからも地域のみなさまとつながっていく。全国から届けられたたくさんの支援を地域のみなさまにお届けする、そのことも支援と一緒に託されたのだと思っています。
みなさまからのあたたかいご支援のおかげで、会社も地域も復旧から復興の途上にあります。
必ず再建。ありがとうございました。