古鷹山ビオトープ・フォローアップ実行委員会
旧海軍兵学校のあった広島県江田島市の古鷹山の中腹に位置するビオトープ。かつて耕作放棄が進み、生態系が破壊された水田について市から相談を受けた梶岡幹生さんが、ビオトープの造成整備に関わったことがきっかけで、2004年、生態系の調査と生育環境の研究を行い、2005年5名で団体を設立。その後、およそ20年にわたり、ボランティアで生物の生態系の管理と環境保全を続けている。2018年7月豪雨災害で3千平方メートルのビオトープは甚大な被害を受け、植物や生物が失われるも、2020年から本格的に保全活動を再開して見事に復活させた。2013年からは、自然生物の観察や、採れた野草や実の試食会、火おこし体験、危険生物や自然災害についての勉強も実施、子どもたちが自然に触れ合う教育プログラムとして好評である。江田島市の行政も一体になって、団体の活動をバックアップ。地域の地理的な特色を生かし、長年にわたって環境保全活動に貢献している。
この度はビオトープ活動が栄誉ある社会貢献支援財団の【社会貢献者表彰】を頂きました事、本当にうれしく思います。これを機にこれからも新たな活動を継続し展開していきます。
1.古鷹山ビオトープの経緯
第1期(2005年から2018年)
2005年放棄水田(0.7ha)を湿地ビオトープとして造成。
造成後、モニタリング・草刈・浚渫・外来種除去などのメンテナンス
観察会は年2回(春と秋)開催。古鷹山の湿地ビオトープも順調に生育。
第2期(2018年7月から2021年2月)
西日本豪雨で完全に崩壊。ビオトープへ行くまでの道路も崩壊し車で行くことも不可能の状態。公園の法面も崩壊、崩壊法面の修復。
第3期(2021年6月~現在)
復旧工事が終わり地元に合った草花を切串小の学童が「復旧記念植栽」を実行。
(ヤシャブシ・カワヤナギ・ヤマツツジ・チガヤ・カサスゲ・アゼスゲ
・セキショウ・ノハナショウブ・カキツバタ・ミソハギなどを植えました)
その後、オニヤンマ・アカトンボ・ミズスマシなどがすぐ飛んできました。
観察会では、生き物を捕獲し、どんな生き物が戻って来ているかの調査や観察をしたり、舞錐式(まいぎりしき)火起こし体験をして焼き芋や焼きマシュマロを楽しんだりするなど、子どもたちが自然の中で楽しめるプログラムを実施しております。
2.これからのビオトープ活動
なぜ多くの学校や公園、地域の森林や草原や川を題材にした環境学習が行われているのでしょうか。一つは身近な自然であり、暮らしにかかわりやすい場所を取り上げることによって、環境にやさしい心を持ち、自ら考え、行動できる子どもたちになって欲しいという事からでしょう!そしてもう一つ、川や森林などの自然に触れることで、正しく、たくましく生きる力を育ませたいと考える人も多いと思います。
例えば、よく川は危険だと言われます。しかし、川は水がとうとうと流れる本流ばかりではありません。近くの小川はどうでしょうか。小さな川でも子どもたちにとっては宝の山です。その気になれば、自分の経験や能力、あるいは外部からの支援によって、それにふさわしい場所が見つかるのではありませんか。思い切って第一歩を踏みだして見られませんか。生まれて初めて川に一歩を踏み入れた子どもたちは、感動と驚きと何とも言えない声をあげます。センス・オブ・ワンダーの心を持ち、もっともっと多くの子どもたちの声が聞こえることを願って観察会などを継続的に行います。
※ ビオトープとは、動物や植物が安定して生活できる生息空間(生物生息空間)のこと。ドイツ語で「生き物」を意味するBIO(ビオ)と「場所」を意味するTOP(トープ)を組み合わせた言葉
※ センス・オブ・ワンダーとは、神秘さや不思議さに目を見張る感性を取り戻し、発見の喜び浸ろうという感覚です。