東日本大震災における貢献者表彰
ろうどうしゃけんこうふくしきこう
かんさいろうさいびょういん かんごぶ
独立行政法人 労働者健康福祉機構 関西ろうさい病院 看護部
兵庫県看護協会から関西広域連合宮城チームの一員として宮城県石巻市および気仙沼市の避難所に、4月8日から6月12日までに計9人(延べ日数100日)災害支援ナースとして派遣され、避難所の被災者の健康状態に関する情報、生活空間・衛生環境に関する情報、不足している物資、必要な人的資源等の情報を収集し、看護協会対策本部に提供したことで、これらの情報に基づいた物資の提供や災害支援ナースが活動しやすい環境を整えることに貢献し、調整力を発揮して避難所の管理体制の改善のための提言を行ない、避難所の効果的な運営に貢献した。被災地や被災者のニーズに合わせて派遣する看護師の専門性を変化させ、適切な人材を派遣し、成果をあげた。
此のたびは、当看護部の活動対して社会貢献賞表彰という栄誉を賜り、誠にありがとうございます。団体としての受賞は、被災地に赴いたスタッフだけでなく、人員の欠けた部分を相互に補いながら、仲間を快く送り出した看護部全体が評価されたものと受け止め、一層うれしく思っております。3月11日のあまりにも悲惨な光景は多くの方々に「何か自分にできることはないのだろうか」という思いを抱かせたと思います。当看護部でも同様に多くの看護師がその思いを私に伝えて参りました。特に私どもは阪神淡路大震災の際に多くの方々に助けていただいた経験がり、その恩返ししたいという思いで一杯でした。病院機能の維持、スタッフの身の安全と保障、家族の了解、有効な災害支援手段、このキーワードで災害支援にスタッフ派遣する手立てを考えている時、兵庫県看護協会から災害ボランティア派遣の要請を頂きました。関西広域連合と兵庫県医師会この2つの災害支援チームに同行させていただき、4月8日から7月30日の期間、述べ13名のスタッフが延べ105日間災害支援にあたらせていただきました。
気仙沼の避難所で初期の救護支援と後期の自立支援をさせていただいた梅野晶子の活動報告を以下に紹介いたします。『被災地には神戸からバスで18時間かけて向かいました。気仙沼市総合体育館ケーウェーブは、多くのボランティア団体や日本看護協会や陸上自衛隊、他県からの事務職員など多くの団体で組織されていました。それらのスタッフで気仙沼市の職員、保健師、看護師を支え、避難所運営のサポートを行いました。避難所での医療者の主な役割は、避難所にある居住スペースの一画に設けられた健康相談室での避難者の健康問題への対応です。健康チェックを通じて、避難者が抱える心の不安や体調不良、食事の偏り、生活不活発病のリスクなどを把握しました。医療者ミーティングを2回/日実施し情報共有と現状把握に努めました。生活の場である避難所で健康問題への介入をどこまでするかは議論の分かれるところであり、今後の課題と感じました。また多くの団体が日々入れ替わりながら協働する場では、より早期に明文化したルールを作ることが必要であると学びました。今回の災害支援活動を通じて、支援活動は非日常的なことですが、日々の実践がそこに活かされることを痛感しました』(梅野)
今回の受賞を励みとして、災害支援活動への積極的参加に一層の取り組みを行うともに、平時においては災害支援看護師教育に尽力し、有事に備えていきたいと思っております。