社会貢献の功績
澤田 正一
自身も児童養護施設で育った経験を持つ。会社勤めの後施設の職員になった。施設の子どもたちに卒業後もサポートの必要性を感じ、平成16年に私財を投じて、自立援助ホーム「ふきのとう」を設立。夫妻とスタッフやボランティアで定員6名の里親型ホームを運営し、帰る所のない15~20歳の青少年の就職の相談、金銭や健康管理などの自立に向け援助をしている。自身が孤児で厳しい環境に置かれ、苦労して保育士や社会福祉士の資格を得て、NPOを運営し社会貢献活動に従事する姿は若者の手本となり、励ましとなっている。
病気の子ども支援ネット遊びのボランティア
坂上 和子
このたびは社会貢献支援財団より、栄えある賞を頂き感謝を申し上げます。
自立援助ホームの歴史は、今から50年前に国の補助金も無い頃から、熱意ある先人たちの苦労の末に築き上げられてきました。
私が、自立援助ホーム「ふきのとう」を開設したのは平成16年9月でした。この7年間で、支援をしてきた児童数は延べ27人になります。ホームに入居してくる大半の子どもたちは、高校を中退したり、非行を重ねたりしてどこにも居場所がない子どもたちばかりです。
その背景には家庭内の虐待や配偶者への暴力、貧困などの深刻な問題が浮かんできます。児童養護施設職員だった頃の私は、心に深い傷を負ったまま社会の荒波に押し出され、人生のどん底に転落してゆく子どもたちを見過ごしながら、とても心が痛みました。
そしてなんとかしてこの子どもたちを救いたい、と願っていました。そのときに私は福祉施設内だけではなく、地域で青少年を育てる必要性を実感しました。社会福祉士資格取得後、志を共にした仲間と自立援助ホーム開設に向けて勉強会をスタート。関東の自立援助ホームを見学したり、セミナーに参加したりしましたが、ホームに適した物件が見つかりませんでした。半ば諦めかけていたところ、4年後に運よく最適な物件が見つかりました。本当にそのときは、嬉しさと感謝の気持ちでいっぱいでした。
妻の協力を得て私は児童養護施設を退職し、里親型の自立援助ホームを開設しましたが、軌道に乗るまでは経営が火の車でした。当初は子どもたちの食材を買うためのお金が十分に無く、期限切れの食品をもらうために、お店を回ったこともありました。
現在はNPOの会員数も増えて寄付も集まるようになり、少し安定するようになりました。とはいえ問題を抱えた子どもの支援には、昼夜を問わずに関わりが必要になり、スタッフの心労も限界に達することが少なからずあります。大人への不信感から、身近な大人への憎悪や愛情を求める試し行為は日常茶飯事です。自傷行為、自殺障望やうつ病を患った若者。自立へはほど遠いようですが、しかしそんな青少年であっても私たち大人が、愛情を持って根気よく接してゆけば、いつか癒され変わってゆくものだと信じています。
現在男女6名の子どもたちと笑いあり、涙あり、怒ったり、お互いに許し合ったりしながら、寝食を共にした生活で自立をめざしています。今後は今までご支援くださった皆様方の感謝のお気持ちを大切にし、この受賞でさらに精進してまいりたいと思っております。