特定分野の功績
みなみのふるさとまもりたい
特定非営利活動法人
南の島々・守り隊
沖縄県の竹富町の鳩間島で、漂着ゴミを憂いていた代表者を中心に平成20年に結成されたNPO法人で、海岸に漂着した発泡スチロールを油化プラント装置にかけ、 ディーゼルエンジンやボイラーの燃料として使用できる スチレン油を抽出し海岸の美化と省エネ効果を高める活動をされている。
有人島で日本最南端の波照間島を有する竹富町は西表島を含め、多くの離島を抱えている。その竹富町の最北の島が我々の活動拠点、鳩間島である。
竹富町には豊かな手付かずの自然が多く残っており、とりわけ西表島は東洋のガラパゴスとも言われ、亜熱帯原生林や、独自の進化を遂げた多様な生態系が今も残され、世界的に見ても極めて貴重であることは、国内のみならず、海外の専門家もこぞって指摘をするところである。
この優れた自然環境の保全について、町はこれまで、西表島の陸域・海域を世界自然遺産に登録しようと取り組んできた経緯があり、現在も続いている。この、貴重な自然を未来へ継承していくためには、今のうちに、様々な角度から必要な検討項目を洗い出し、住民生活と自然とが共生できる条件整備を行う等、持続可能な対策を講じておく必要があるとの思いで、平成19年、NPOの設立準備委員会を立ち上げ、平成20年11月、南の島々(ふるさと)守り隊を設立した。
沖縄観光の大きな魅力は、その美しい海であり、白く輝く海浜であろう。だが、近年海岸漂流ゴミが大量に押し寄せ、美観を損ねるばかりか、生態系まで破壊することなど、その対応に苦慮しているところである。漂着ゴミの約40%は発砲スチロールであり、その他にもプラスチック類、ペットボトル、漁網・浮き球・ロープ、流木等様々である。当NPOでは、この厄介者の発砲スチロールを油化し、スチレン油を抽出して、エネルギーとして利用出来るプラントを、日本海難防止協会をはじめ、日本財団、サンライフ社など多くの関係機関の尽力で平成21年に完成させ、現在西表島・竹富島の漂着発砲スチロールの一部を処理している。また、ボイラーの燃料としても利用しており、今後、船舶や焼却炉燃料としての使用も視野に入れ、有効な利活用について検討をしているところである。更に鳩間小中学校が行っている海岸漂着ゴミの回収作業にも積極的に関わり、漂着ゴミの実態や、油化プラントで実際にスチレンの抽出作業を行い、その内容についての説明や、スチレン油を利用したボイラー使用について細かく説明を行うなど、児童生徒へ環境問題について提言を行っている。
今般、国が漂着物の処理について法制化し、漂着ゴミの処理費用や啓発活動に際し、国の財政支援策が示されているが、それでも海岸線を有する自治体は、膨大な漂着ゴミの処理に頭を痛めているのが厳しい現実であり、喫緊の課題だと認識している。
今後、スチレンを活用した離島での新たな事業展開や、海岸の美化及び省エネ対策、さらには離島振興につながる社会貢献を目指すNPOでありたいと意を強くしているところである。
今回、身に余る過分な評価をいただき、このような栄誉ある表彰に浴し、衷心より厚く感謝を申し上げます。
美しい海・眩しい白い砂浜を残すため、かけがえのない自然を残すため、小さな一歩、しかし確実な一歩に努めていきたいと思います。
公益財団法人 社会貢献支援財団の限りないご発展をお祈り申し上げます。
この度は誠にありがとうございました。